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SDGsは日本の学びをどう変えていくのか ~手島先生の特別授業~ vol.3

  • 2019年3月11日
  • 緑のgoo編集部
【目次】
①:学校教育での実践と全体セッション
②:学びに火をつけるために
③:地域と連携した学び
④:カリキュラム・マネジメントの真髄
⑤:対話セッション – 特別授業を受けて -
⑥:全体セッション
⑦:まとめ

全体セッション

森:盛りだくさんの授業でしたが、今の気づきとか、質問があったらどうぞ。

参加者:岡山でESDが盛んだと聞きましたが、どうしてですか?

手島:岡山は2015年に開催されたESDの10年の世界会議の開催会場の一つでした。市をあげてESDを推進して、研究者や市民、学校が頑張って、充実した活動を続けているんですよ。

第30回エコ×エネ・カフェ

参加者:「文科省の方針だから学校全体で一丸になって進めよう」となると、現場の先生たちが校長先生のいうことを聞かなきゃならないという気持ちになって、子どもたちではなく上の方ばかりみて授業をやるようになるのではと思います。教員が少ない教育現場の現状を踏まえて、先ずは先生方がゆっくりと学習できるような環境を整えることも大事だと思いますし、そういうことを政府に伝えることも大事だと思いますがいかがですか?

手島:たしかに校長がトップダウンってなると現場は嫌なんだよね。独善的であってはいけない。いろんな人の声に耳を傾ける。聞く耳を持ち、学ぶ人が校長であってほしい。職員の思いを汲みながら、学校をいかに良くしていくか、そのために充実した学びをつくるのもね。

政府にも、こういう時代になっていることを理解して教育を変えていこうじゃないかと、前回の学習指導要綱の改定の時にも言い続けていました。その時には「持続可能性」っていう言葉が何箇所かに入った程度でした。でもそれでは、新しい時代を生き抜く子どもは育てられないし、もっと根本を変えていかなくてはならないんです。トップダウンとボトムアップの両方をしないと、日本の教育がよくならないんですね。いまの学習指導要綱では、「持続可能性」ということについて、全体を総括する「前文」のところに書いてあります。政府がそういうことを大事だと認めたけれど、上がいうだけじゃなくて、いろいろなところで実践を積み重ねて、それが世の中を変えていくと証明しなくちゃと思います。

森:「学校」というところで組織変革をしていくのは、きっと手強いことですよね。

第30回エコ×エネ・カフェ

参加者:アクティブラーニングについて説明いただけますか?

手島:アクティブに学ぶっていう学び方のことですね。人に言われて勉強するんじゃ、なかなかアクティブにならないよね。つまり、本人が主体的になることが大事で、何かに対して問題意識をもつことがアクティブラーニングの始まりだと思っています。問題解決型学習とか、探究的な学習とか、表現はいろいろありますが、わかりやすくするために「子どもの学びに火をつけろ」って私は言っています。職員にもこういう現状どう思うのって一緒に考えて、そのためにどうするかっていうのも考えていく。さっきご紹介したのも、アクティブラーニングの一つの例だと私は思っています。

森:比較的年齢層の高い方からの質問が続きましたが、20代の皆さんからは何かありますか?

第30回エコ×エネ・カフェ

参加者:小学校ではESDの取り組みをしているところがたくさんあるようですが、中学、高校の生徒たちがもっと高められるような学校をつくっていくことも大事だと思いました。そういった取り組みはありますか?ESDの取り組みをされている小学校は、姉妹校があったり、他の学校と連携してチームをつくったりもされているのでしょうか?

手島:ESDを推進する「ユネスコスクール」というネットワークがあります。世界180カ国以上の国と地域があって、日本国内でも1,000校を超えています。今ご指摘があったように、中学高校でESDを続けていくのは難しいんです。というのも、教科担任制になっているでしょ?「この教科を教えるのが自分の仕事」っていう考えを切り替えるのがなかなかできない。指導する校長先生にも、全体をどうマネジメントするかっていう発想があまりないんですね。仮に持続可能性っていうテーマに取り組んだとしても「受験のために必要だから」という理由でつくられた授業になってしまったりする。中学校・高等学校でも目の覚めるような素晴らしい実践をしている学校もあります。そういう学校が増えるといいと思っています。大学の入試もこれから変わっていくようですし、それに向けて今後変えていくこともできるのかなとも期待しています。

第30回エコ×エネ・カフェ

参加者:大学で、高校の教員免許を目指しています。商業科で教える最初の科目がビジネス基礎なのですが、環境についての項目がたったの見開き半ページです。そういう中で持続可能性についての学びを始めるのは難しいと感じています。先生がこういった授業を始めたキッカケはなんだったのですか?

森:長くなりそうな質問だねー。

手島:日本科学未来館というところで、温暖化が地球規模で進んでいることを示すために、シベリアの永久凍土が溶けてその中から掘り出された象を展示していたんです。その時に、自分の子どものために良い世の中を残してやりたいなあ…と思ったのが、ここまでのめり込んだキッカケなんです。これが本音ね。それから、自分が一生懸命教えている子どもたちのため、日本の子どもたちのためにどうしたら良いのって考えたら、世界を変えるしかないってなる。それにはどうしたら良いか、いろんな手があるけれど、今の自分の立ち位置でできることはなんだろう、それを世界につなげるにはどうしたら良いか、ひとつひとつ考えながらやっていくことが大事なんですね。現状がこうだからできないってことはないですし、学校という現場に、今あなたが思っているようなことを考えている先生がいるっていうことはとても大事なことだと思います。

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