各界の第一人者をゲストに招き、「エコロジー」と「エネルギー」について気楽にフラットに学び合うエコ×エネ・カフェが、2019年2月13日(水)に開催されました。
30回目の開催となる今回のテーマは第30回記念 - 手島先生の特別授業 - 「SDGsは日本の学びをどう変えて行くのか」です。SDGsとは、国連加盟国が2015年に全会一致で採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にある持続可能な世界を実現するための国際目標です。今回は持続可能な開発のための教育(ESD)を通じてSDGsの達成に取り組む、前江東区立八名川小学校長の手島利夫さんをゲストにお招きし、わかりやすく解説していただきました。
【目次】
①:ゲスト紹介
②:「どういう時代を私たちはつくっていけるのか」を考える
③:深い学びが生まれる時間
④:日本の教育を変えていく2つの大事な方向性
手島 利夫(てじま としお)氏
前江東区立八名川小学校長、日本持続発展教育推進フォーラム理事、共創型対話学習研究所所長補佐、日本ESD学会副会長、ユネスコスクールとしてESDカレンダーの開発・ESD推進に携わる(※ESD=持続可能な開発のための教育)
開催にあたり、まずは主催のJ-POWER(電源開発株式会社)の藤木専任部長よりご挨拶をいただきました。
藤木 勇光(ふじき ゆうこう)
J-POWER(電源開発株式会社)秘書広報部 専任部長
藤木さん(以下、藤木):J-POWER(電源開発株式会社)は、戦後復興と経済成長で急速に増えた電力需要に応えるために、国策会社として1952年に設立、2004年に民営化しました。全国に発電所を持ち、日本で消費される電力の約6%を発電しています。1998年に策定した企業理念「エネルギーと環境の共生」の実現を目指して、2009年から「エコ×エネ体験プロジェクト」を社会貢献事業として展開しています。「エコ×エネ・カフェ」は私たちの暮らしに欠かすことのできないエコとエネ、双方のバランスがとれた社会について社会人と学生がフラットに話し合う「身近なつながりの場」という位置付けで開催しています。10年目の節目を迎えた今年は、SDGsをテーマに掲げてきました。サステナブルディベロップメント(持続可能な開発)のために日本が提唱してきたことに、ESD(持続可能な開発のための教育)があります。30回目となる今回は、ESDに長年取り組んでこられた手島先生をお招きしました。手島先生が校長先生をしていた江東区八名川小学校は、第1回SDGsアワードも受賞しています。今日は手島先生の特別授業を皆さんと一緒に楽しく学んでいけたらと思っています。
森さん(以下、森):これまでとまったく違う進行の「手島スペシャル」です。手島先生、よろしくお願いします!
ファシリテーターのBe Nature School 森さん
手島先生(以下、手島): J-POWERが誕生した1952年は私の生まれた年なんです。65歳になる2018年まで校長をしていましたが、定年退職した今は、色々なところで持続可能な社会をつくることに関わっていけたらと活動しています。
こういうロゴ、よく見るようになりましたね。2015年に国連のサミットで全会一致で採択されたSDGsのロゴです。「誰一人取り残さない」というのがキーワードです。
SDGsの目標の4番に「質の高い教育をみんなに」というのがあります。これはESDのことなんです。2005年から2014年までは「ESDの10年」というくくりがあって、世界で推進していこうという取り組みがありました。でも、ただそれぞれが分断的にやっていてはうまくいきません。強い意志を持った人が育たなければ、実現できないんじゃないかなと思うんです。イベントのようなことをやって学んだ気分になってそれきりというのじゃ駄目なんですね。なので、SDGsの目標4番を大事にしていこうということを話していきたいと思います。
日本の教育も同じ視点で考えています。日本そのものの持続可能性と、持続可能な世界を実現することの両方が大事なんですね。一国だけ頑張ったって駄目。だからみんなで力をあわせていかなきゃならない。そのための教育が重要です。