特別展「信州の工芸−作り手たちの原点−」が現在、松本市立博物館(松本市大手3、TEL 0263-32-0133)で開催されている。(松本経済新聞)
作品の横で「原点」を紹介する構成
木工、ガラス、彫金など県内で活動する23人の作家が出品。展示室内のスペースを広く使い、台座を並べて作品を展示し、制作に対する思いや、それぞれが「原点」とする作品も合わせて紹介する。飯島正章さんが制作した竹製の厨子(ずし)には、同博物館が収蔵するみすず細工の籠を、笠井秀郎さんが手がけたガラスの明かりには、松本民芸館が収蔵する豆ランプを並べる。同館学芸員の本間花梨さんは「作家、作品、そして原点としているものをつなげて見ることができるように、配置を工夫した」と話す。
ゴールデンウイークに始まる工芸イベント「工芸の五月」や、今年41回目を迎える「クラフトフェアまつもと」を紹介するコーナーも設置。これまでDMなどに使った木工のオブジェや、「子ども椅子展」などのイベント企画で展示した椅子なども用意する。
同展は「工芸の五月」に合わせて企画。NPO法人松本クラフト推進協会に協力を依頼し、1年ほどかけて準備を進めてきた。作家の人選は同協会が担当。一人一人を訪ねて聞き取りを行い、原点を探ったという。「半分以上の作家の方の『原点』として、収蔵作品を紹介している。総合博物館だからこそ実現できたコラボ」と本間さん。同法人理事の小田時男さんは「作品を通じて、作家の生き方や考え方に触れることが次世代への継承になる」と期待を寄せる。
18日にはオープニングセレモニーが行われた。臥雲義尚市長は「工芸の町、松本のルーツ、文化を知る機会になれば」とあいさつ。同館のアソシエイトプロデューサー・おおうちおさむさんは「博物館の収蔵品と、現代の作家の作品のマッチングを意識して見てほしい」と呼びかけた。
開館時間は9時~17時(入場は16時30分まで)。入場料は、大人=1,000円、大学生=600円、高校生以下無料。火曜休館(祝日の場合は翌平日)。6月9日まで。期間中は、スツールの座面編み、木のおもちゃ作り講座、金継ぎ実演などの関連企画も行う。