【目次】
①:ゲスト紹介
②:世界が注目するSDGsとは
③:日本のSDGsへの取り組み
④:SDGsとSociety 5.0
⑤:SDGsとローカルアクション
⑥:社会が次の段階へ進むために
⑦:脱炭素社会とSDGs
森:経団連がSDGsに関心を持ったのはなぜですか?
長澤:「Society 5.0」をご存知ですか?国の第5期科学技術基本計画で掲げられた日本の新しい成長モデルで、AIやIoT、ビッグデータなどの最先端技術を使って暮らしを最適化させようというものです。Society 5.0で様々な社会課題を解決するという方向性がSDGsと同じということで、SDGsのためのSociety 5.0が推進されるようになりました。企業行動憲章の改定も、Society 5.0の実現を通じてSDGsの達成に貢献するという視点からです。
森:先にSociety 5.0のビジョンがあったんですね。世界的に見て、日本企業のSDGsへの取り組みは進んでいる方ですか?
長澤:Society 5.0を海外の方に見せると「日本人から初めてコンセプトが出てきた」と感動されますが(笑)、実際は、ユニリーバやダノンなどの企業は他が追いつけないくらい先を歩んでいると感じます。国際的な世界では「SDGsはBDGs(Business Development Goals)」つまり「ビジネス開発目標」で、12兆ドルのビジネスを生むと言われています。国連も、企業を不可欠なパートナーだと認識しています。
長澤:ダノンはグラミン銀行と組んで、バングラデシュでマイクロファイナンス事業をしていますが、この担当者の肩書は「持続可能性統合担当ディレクター」、事業活動のすべてに持続可能性の視点を入れるという役職です。一方、インドの総合商社タタ社の社長は「SDGsを事業戦略の中核に据えている」と発言し、デジタル・ヘルスのプラットフォーム、農業のスマート化、クリーンエネルギーなどの分野に投資をしています。
長澤:環境、社会、ガバナンスの面で投資先を判断するESG投資も70兆ドルの市場規模になっています。SDGsは中長期的なリスクの有無の判断ツールにもなるので、中長期的な持続可能性が高い企業に投資したいという投資家たちに広まっていきました。