【目次】
①:ゲスト紹介
②:世界が注目するSDGsとは
③:日本のSDGsへの取り組み
④:SDGsとSociety 5.0
⑤:SDGsとローカルアクション
⑥:社会が次の段階へ進むために
⑦:脱炭素社会とSDGs
森:SDGsの弱点や危惧するところがあれば教えて下さい。
長澤:成果を測る国連の指標が不十分な点です。例えば、3(すべての人に健康と福祉を健康と福祉を)にある数値は「すべての人に医療へのアクセスを」という点だけが指標になっています。たとえば、ある製薬会社は、ヘルスケアの領域を幅広くとらえ、医療だけでなく街づくりや福祉にも取り組めるような助成金の仕組みをつくっていますが、それを成果として国連に訴える指標はありません。
森:それは投資機関が評価をしないというリスクになり、企業にとっては大問題ですね。また、SDGsの期限である2030年まであと少しですが本当に目標達成できるんですか?
長澤:これについては「野心的な目標」と言われていて、全部の目標が同時達成できるとは考えられていません。達成の方向に向かって進むことが重要で、世界の共通言語として認識されることが大切なんです。一方で、どれかひとつだけが達成できてもダメなんです。何かを達成するために他が犠牲になるのではなく、バランスよくということです。
森:それが、ゴールを17個にした意味ですね。
長澤:個別の目標達成ではなく、社会が次の段階に行くという変容を狙っているんです。そもそも、このままだと地球は持たないというところから始まったので。
森:その深刻さを、日本の企業トップは持っているのでしょうか?
長澤:それぞれに差があるところだと思いますが、2017年の1月くらいからトップの人たちの考え方がガラッと変わったのは事実です。ダボス会議やB7などで欧米企業からSDGsのことを聞き、先進企業と触れて刺激を受けたことがきっかけだと思います。今のトップの人たちは、SDGsを理解して進めていこうとしています。