【目次】
①:ゲスト紹介
②:世界が注目するSDGsとは
③:日本のSDGsへの取り組み
④:SDGsとSociety 5.0
⑤:SDGsとローカルアクション
⑥:社会が次の段階へ進むために
⑦:脱炭素社会とSDGs
森:世界を動かすSDGsは、私たちの身近なものではないのでしょうか?
長澤:何かをグローバルにやろうと思ったら、ローカルに実践するしかありません。ここでローカルなアクションを紹介します。
福島県郡山市の「特定非営利活動法人 しんせい」は、震災で避難をしてきた小さな福祉作業所の協働プロジェクトで、第1回ジャパンSDGsアワード内閣官房長官賞を受賞しています。
特定非営利活動法人 しんせい
長澤:SDGsのゴールだと、8(働きがいも経済成長も)、障害者一人ひとりの個性を生かし、魅力的な商品をつくっています。10(人や国の不平等をなくそう)、地域の皆さんに障害への理解してもらう場を設けています。12(つくる責任 つかう責任)、残り物を上手に使う「始末のこころ」を大事にし、使われなくなったものをリサイクルして商品を生み出しています。そして17(パートナーシップで目標を達成しよう)、周囲を巻き込むことが得意な団体です。困った時は声をあげ、いろいろな企業や団体からの協力を得て実現させています。私はブラザー工業をご紹介しましたが、ミシンの技術指導をすることで、縫製技術が格段にあがりました。
長澤:もうひとつご紹介したいのが、「 一般社団法人 グリーンダウンプロジェクト」です。「 一般社団法人 グリーンダウンプロジェクト」は羽毛の循環リサイクルに取り組んでいる団体です。ダウンジャケットや布団に使われる羽毛の寿命は10年と言われていますが、そこで捨てずに回収してまた製品にします。
一般社団法人 グリーンダウンプロジェクト
長澤:羽毛を取り巻く環境は、中国をはじめとした市場の広がりに伴い羽毛の安定供給が難しくなっていて、かさを増すために羽毛にごみを混ぜるなどの問題も起きています。
長澤:SDGsのゴールだと、まず9(産業と技術革新の基盤をつくろう)、羽毛洗浄技術の革新により、質の高い羽毛の安定的供給を可能にし、柔軟かつ強靭な羽毛産業基盤を構築します。そして12(つくる責任 つかう責任)、使わなくなった羽毛製品を捨てないという、持続可能な生産と消費のパターンです。13(気候変動に具体的な対策を)、捨てずにリサイクルすることでCO2の排出抑制を目指しています。
森:さらに8(働きがいも経済成長も)にも当てはまるんですね。
長澤:ここが大きな特徴です。循環リサイクルの過程に障害者の雇用という視点も足し、回収した羽毛製品の解体作業を福祉作業所にお願いしています。17のゴールを「何を足せるか」という見方で使えば、思いがけない取り組みや連携先が見えてきます。ゴールの下にある169のターゲットまで見ればもっと浮かんでくると思います。
森:17個、並列に並んでいるからこそ見えてきますね。