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「手料理は当たり前」「料理にダメ出し」振られた理由に気づかない?時代とともに変化した結婚観や価値観を描く【漫画家インタビュー】

  • 2024年4月27日
  • Walkerplus

ゴールデンウィークにゆっくり過ごしたい人にぴったり!ウォーカープラスいちおし漫画をご紹介しよう。
頑張って作った料理に「おいしい」や「ありがとう」以外の感想が必要?味が濃い、薄い、彩りが…料理にまで完璧を求める勝男が6年目の記念日にプロポーズをしたら、まさかの破局⁉自分の価値観が世間とズレていたことを知る、漫画家谷口菜津子(@nco0707)さんの「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(ぶんか社)を紹介しよう。


■男に尽くしたいモテ女、見た目も仕事も完璧な男像はもう古い?
社会人の主人公・勝男は、大学時代から5年付き合っている鮎美と同棲中。そろそろ彼女と次の段階へ進もうと、6年目の記念日にプロポーズを決意。しかし、鮎美にあっさりと断られてしまい2人は破局した。結婚すると思っていたのは、勝男だけだった…それは、なぜ?

勝男は、子どものころからモテ街道を歩んできた。破局したなら「新しい彼女を作ればいい」と合コンへ参加。そこで「筑前煮を作れる彼女がいい」「和食が作れたら魅力的」と話すと「この世代にそんな化石みたいな人いたんだ!」と、女性たちから引かれてしまう。周囲の話から、自分の価値観が妙にずれていることに気が付く勝男……。

さらに「じゃあ、筑前煮作ってみたらどうです?」と、部下に言われ、実際に料理をしてみることに。「筑前煮」はただの煮込み料理だと思っていた勝男。出汁から取って、飾り切りをして作られた「鮎美の筑前煮」がどれだけ丁寧に作られていたかを知る。

鮎美が作る夕飯は、筑前煮やサバの味噌煮など勝男が好きな和食がメインだった。勝男は「美味しい」「いつもありがとう」と言いつつも、「しいていうなら、全体的におかずが茶色すぎるかな?」と一言アドバイスが多かった。常に完璧を求めてきた勝男は、鮎美の手料理にも悪気のない言葉を言い続けていたのだ。

手料理が当たり前のような完璧主義の勝男と、男のために尽くすモテ街道一直線の鮎美が生まれたきっかけを谷口菜津子さんに聞いた。

【谷口さん】SNS上で時々見かける「料理のダメ出しをする夫への不満」を読んで、腹が立ったり、悔しい気持ちになったことがあって、もしその「料理のダメ出しをした夫」が自らそのダメ出しをした料理を一から作ったらおもしろいだろうなと思ったのが、この作品のアイデアの種でした。そこから編集さんとどんな兄弟構成なのかとか、好きなドラマはなんなのかとか、想像しながら勝男と鮎美のキャラクターを作っていきました。

昭和世代の親に育てられた子どもたちは大人になり、結婚観や価値観が大きく変化。それらをキャラクターに照らし合わせたこだわりについては、

【谷口さん】学生時代からの女性の友達が「女の子らしい髪型が好きだし、スカートも好き。恋愛対象の異性に対しても”男らしい”姿を見てキュンとくる。でも、今の時代それを口にしちゃいけないのかな?」と言っていたことがありました。それを聞いて、当時の私はジェンダーのことや個人の自由など、問題がいくつも重なっているように感じ、何て答えていいかわからず考え込んでしまいました。同時に、学生のころから変わらずにいると思っていた彼女が、いろんなメディアから発信されている価値観の変化を感じ取って、自分の趣向に疑問を持つということができていることに少し感動したりもしました。

そして、これは単行本1巻のあとがきにも書いたのですが、「自分自身は本当についていけているのか?」と思うことが年々増えてきていることにも気づき始めました。勝男が主人公なので、男性が価値観を更新する物語のように捉えられるかもしれませんが、どんな方でも変わることへの希望が持てるような物語にしたいと願って、ストーリーやキャラクターを作っています。

また、キャッチ―なタイトル「じゃあ、あんたが作ってみろよ」に決めた経緯は、

【谷口さん】1話の内容が決定しタイトルを考えてるとき、とある芸人さんが、同棲している恋人にご飯を作ってもらっておきながら「今日の献立、茶色いね」みたいなことを言ってしまい、それを聞いた恋人が泣いてしまった、というエピソードを話されていたのを思い出しました。

茶色い料理はおいしいものが多いにしても「頑張って作った料理の感想がそれはしんどいだろうな」と思いつつ、このような「うざい料理へのダメ出しをタイトルにするのがいいんじゃないか?」と考え始め、結局、そのセリフに対するツッコミのような感じで「じゃあ、あんたが作ってみろよ」というタイトルにすることにしました。


「女が料理を作る」という考え方が薄れてきた現代。プロポーズを断られてしまったのは、結婚観、価値観の大きな違いに彼女が気づいたからだった。

現在、「じゃあ、あんたが作ってみろよ」は電子雑誌「comicタント」で毎月最終金曜に配信中。1巻の続きとなる第8話は、vol.49に収録。各種電子ストアで分冊版も配信中だ。また、トーチwebでは読み切り漫画「週刊 元恋人を作る」を読むことができる。

取材協力:谷口菜津子(@nco0707)

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