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「サーマルリサイクル」 詳細解説

読み:
さーまるりさいくる
英名:
Thermal Recycle

廃棄物を焼却して得た熱エネルギーを回収し、再利用するサーマルリサイクルは、欧米ではサーマルリカバリーと呼ばれて広く行われてきた。EU(欧州連合)では、早くから廃棄物の処理などに関する考え方として、1.廃棄物の発生を抑制する、2.製品を再生利用する、3.物質を回収あるいはコンポスト化する、4.焼却によりエネルギーを回収する、5.埋め立て処分する―の優先順位が確立されている。現在では、、デンマークやオランダのように廃棄物の焼却による熱回収を進めている国もある。ドイツでは、循環経済・廃棄物法により、廃棄物の熱量が一定以上確保できる場合で、燃焼効率75%以上の場合にサーマルリサイクルが認められる。

日本では、2000年に公布された循環型社会形成推進基本法では、処理の優先順位が1.発生抑制、2.再使用、3.再生利用、4.熱回収、5.適正処分の順に定められた。サーマルリサイクルは4番目の熱回収にあたるとされる。また、環境省経済産業省はReduce(リデュース=廃棄物の発生抑制)、Reuse(リユース=再使用)、Recycle(リサイクル=再資源化)の順で廃棄物の発生抑制、リサイクルを行ういわゆる3R政策を進めており、サーマルリサイクルは、手法としては3番目のリサイクルに分類されている。個別のリサイクル法を見ると、家電リサイクル法では、再商品化及び熱回収を「再商品化等」としており、建設リサイクル法基本方針では、廃棄物を原料として利用するマテリアルリサイクルが技術的に困難である場合などには熱回収を行うとしている。

具体的には、清掃工場から発生する排熱をプールなどの温水の熱源や、地域冷暖房など他のエネルギーとして利用するケースが多く、ごみ発電やエコセメントなどのエネルギー源として用いられることもある。とくに廃プラスチックについては、総排出量が近年約1000万トンで推移する中、サーマルリサイクルについては産業系の廃プラスチックを使った固形燃料(RPF)が増加しつつある。地域での活用事例としては、東京都は新海面処分場の延命対策として、埋立処分場に占める割合の高い廃プラスチック、ゴム、皮革類を可燃ごみとして焼却することにより、熱エネルギーを回収するサーマルリサイクルを2006年度からモデル的に開始している。

ただし、サーマルリサイクルはリユースやマテリアルリサイクルを繰り返し行い、それ以上マテリアルリサイクルできなくなった場合の最後の手段であるため、狭義のリサイクルに含めるべきではないとする見方がある。また、廃棄物を焼却するサーマルリサイクルはむしろ「処分」に近く、燃やしてもリサイクルになるという認識が広まるとごみの排出抑制を妨げることに加えて、安易な焼却処理につながるとして批判的な意見も、NGO/NPOや研究者などに根強くある。現在、容器包装リサイクル法に基づく分別収集計画量が再商品化計画量を2006年度以降上回ることが予想されていることなどを受けて、サーマルリサイクル拡大の声が各所から上がっているが、こうした批判や懸念を現実のものにしないためにも サーマルリサイクルはドイツなどのように一定以上の熱量や燃焼効率の確保を前提として進められるべきとの意見も強い。

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