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「地球温暖化対策税」 詳細解説

読み:
ちきゅうおんだんかたいさくぜい
英名:
Global Warming Tax

環境省は、2010年度の税制改正要望に「地球温暖化対策税」を盛り込み、2009年11月にその内容を公表した。財務省は、経済や金融の情勢を踏まえて毎年度税制改正を行っており、各省庁は改正を要望する事項をまとめて、前年の10月末までに同省へ提出することになっている。環境省は2010年度の税制改正に対して、低炭素社会を実現するための地球温暖化対策税を含む税制全体のグリーン化を要望した。

環境省は従来から、二酸化炭素(CO2)に着目した炭素税が低炭素社会の実現のために有効な経済的手法であるとして環境税の創設を要望してきたが、政府と旧与党それぞれの税制調査会における議論では「時期尚早」として先送りされてきた。しかし、2009年の政権交代によって民主党が与党となり、鳩山由紀夫総理大臣が日本の温室効果ガス削減の中期目標について「2020年までに1990年比で25%削減することを目指す」と明言したことを受けて、同省はそのための施策の財源となる地球温暖化対策税の導入を打ち出した。

地球温暖化対策税は、税体系を環境の観点から構築し直す税制のグリーン化の基軸となるものだ。課税によってCO2の排出量を抑制するとともに、税収を地球温暖化対策に充てることで、CO2削減と環境関連産業の育成による経済の活性化を図ることができる。また、CO2の排出量が増え続けている家庭部門や運輸部門をはじめとする幅広い分野をカバーし、中小企業を含めたCO2排出削減効果が期待されている。環境省の要望が通れば2010年4月から実施され、導入によって見込まれる税収は総額約2兆円だ。

課税対象は、次にあげるすべての化石燃料になる予定だ。1) 原油、石油製品(ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料)、2) ガス状炭化水素(天然ガス、LPGなど)、3) 石炭。課税は現行の石油石炭税の仕組みを活用して、原油や石炭などの輸入者や採取者に対して行われる。また、ガソリンについては、ガソリン製造者などに対する上乗せ課税が行われ、その額は税収の半分近い1兆円弱になる見通しだ。なお、次の4つについては免税となる。1) 製品原料用の化石燃料(ナフサ)、2) 鉄鋼製造用の石炭とコークス、3) セメント製造用の石炭、4) 農林漁業用のA重油。

また、今後、国内排出量取引制度が導入される場合には、排出量取引の対象となる事業者の負担を軽減するための措置が検討される予定だ。地球温暖化対策税創設の動きが加速する一方で、従来から環境税の導入に反対してきた日本経済団体連合会をはじめとする産業界からは、政府の慎重な対応を求める意見が出ている。また、環境省は1世帯当たりの負担額が年間1127円増えるという試算を示しており、導入に向けた議論は今後さらに活発になりそうだ。

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