地球温暖化の要因である二酸化炭素(CO2)の排出を削減するため、化石燃料への課税を行う税制。いわゆる環境税のひとつで、ガソリンや重油、石炭などの使用に伴って排出されるCO2の量に応じて課税する。化石燃料の価格を上げて消費を抑制する「価格インセンティブ効果」により、CO2の排出抑制を促す公平で実効性のある経済的手法として注目された。1990年代以降、フィンランドやオランダ、ノルウェー、スウェーデン、デンマークなどヨーロッパ諸国で導入が進んだ。また、米国やカナダでも一部の自治体や州が導入している。
日本では環境省が、持続可能な社会を構築するために税制のグリーン化について議論を進め、早期導入を訴えてきた。しかし、炭素税を含む環境税の創設に対する産業界の反対が根強いこともあり、毎年の税制改正で先送りされてきた。その後、2012年度税制改正で「地球温暖化対策のための課税特例」が創設され、2012年10月1日から「地球温暖化対策税」が始まった。石油、天然ガス、石炭などすべての化石燃料の利用に対して、CO2排出量に応じて広く公平に負担を求める。
地球温暖化対策税の税率は、化石燃料ごとのCO2排出原単位を用いて、各税負担がCO2排出量1t当たり289円になるように設定されている。税収は、日本の温室効果ガスの9割を占めるエネルギー起源CO2排出抑制施策に充てられる。税収は、初年度が391億円で、2016年度以降は2623億円と見込まれている。2014年4月1日から2段階目の税率が適用された。一方、炭素税の経済効果については、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)などの環境NGOが試算を行っている。それによると、炭素税の税収額は最大で約5兆円に達する。