動物の呼吸や、石油・石炭など化石燃料の燃焼などに伴って発生する気体。炭酸ガスともいい、化学式はCO2。CO2は地球の大気を構成する一成分で、大気中に0.03%存在している。それ自体は有害な物質ではないが、地上から放出される熱を吸収する温室効果があるため、その濃度が高まると地球温暖化を招く。このように、地表を暖めるはたらきをもつCO2やメタンなどの気体を温室効果ガスと呼ぶ。CO2の排出量は、18世紀半ばの産業革命以降、急激に上昇した。原因としては、化石燃料の大量消費や開発、森林破壊などが指摘されており、いずれも人間の活動によるものだ。
産業革命以前の平均的なCO2濃度は280ppm程度だったが、現在のCO2濃度はその当時に比べて約36%も増加している。近い将来、途上国の排出量が先進国を上回り、現在よりも増えると予測されている。2011年現在でCO2を最も多く排出しているのは中国で、全世界の約27%にあたる85億トン以上を毎年排出しており、米国、インド、ロシア、日本がこれに続く。地球温暖化が進むと、自然環境や社会などに重大な影響を与えることが、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による評価報告書などの科学的な研究成果により明らかになっている。
CO2をはじめとする温室効果ガスの排出量を抑えるため、1997年に開催された「気候変動枠組条約第3回締結国会議」(COP3)で京都議定書が採択された。CO2など6つのガスについて、先進国全体で削減すべき量が基準年(1990年)比で5.2%と定められ、日本の数値目標は6%となった。また、森林によるCO2吸収量を算入することを認めたほか、排出量取引、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)などを柱とする京都メカニズムを導入した。同議定書は2005年に発効したが、その第1約束期間は2012年いっぱいで終わった。2013年以降の国際的な枠組みである「ポスト京都」については、2011年に南アフリカで開催されたCOP17で、新たな法的枠組みを2020年に開始することや同議定書の延長などが決まったが、日本は延長議定書への不参加を表明した。
CO2の排出を抑制するため、企業や市民、行政などあらゆる主体による取り組みが行われている。化石燃料ではなく再生可能エネルギーを活用することや、省エネ・節電の励行、燃料電池車の普及など、各分野における努力が続けられている。