ワールドカフェ後は、全体セッションで、講師への質問や感想を交わしあいました。
参加者:ベトナムの事例が紹介されましたが、日本にも貧困のような問題はあり、例えば子ども食堂のような活動もあります。何故ベトナムなのですか?日本での活動はありますか?
室:ベトナムは味の素が大きくビジネスを展開している地域です。もともと共産圏だったこともあり行政対応が重要な国でしたが、徐々に行政側と関係をつくり、いろいろな課題について一緒に研究するようなことができるようになりました。また、ベトナムが親日国ということもあって、日本の企業への信頼が厚く、いろいろ相談を受ける中で、ご紹介したふたつのプロジェクトにつながっていきました。どこの国でも、社会課題があってもなかなか行政側が認めないということがありますが、「こうしたらより良くできるのでは」と提案を重ねながら少しずつ状況を変えてきました。このような活動は他のアセアンの国々でも行なっています。日本国内でも活動をしていまして、消費者の理解を得ながら社会貢献を促進するという意味で、決まった製品の一定期間の売り上げの一部を子ども食堂の運営団体に寄付することもしています。それから、東日本大震災の復興支援は8年目にあたる現在も続けていて、東北3県で健康栄養セミナーを開催しています。セミナーはほぼ毎日行われ、常駐スタッフがいますが、普段はオフィスで働く社員もボランティアで参加しています。栄養の問題もそうですが、コミュニティから離れ1人になりがちな高齢者の人たちにみんなで一緒にごはんを食べる場を提供するという目的もあります。
参加者:SDGsの関連からもプラスチックゴミの問題が注目されていますが、食品の包装について、何か考えていることはありますか?
室:日本はリサイクル体制が整っていますが、焼却等の設備がなかったり、川などに廃棄されることが多い東南アジアなど、海外でより深刻な状況になっていますね。味の素としても問題意識を持っていますが、1社だけで解決できる問題ではありませんから、いろいろな企業とアライアンスを組んだり、コンシューマー・グッズ・フォーラムという団体の中でも議論を進めています。
森:いろんなことをしているんですね。
参加者:SDGsに関して17ある目標のうち8つに取り組んでいるということですが、今後はその8つをより掘り下げていくのでしょうか。それともそれ以外の目標にも取り組んでいく方向でしょうか?
室:8つと紹介しましたが、11とする場合もあります。いずれにしても17個全部をやるのは効率的ではない。事業に関連の深い食や栄養というテーマに近いものに力を入れていきたいと考えています。まだ世界の限られた地域でしかできていませんから、それを現地の状況にあわせながら更に広げていくという方向になるのではと考えています。
参加者:ワールド・カフェの対話の中で「子ども」というキーワードが出てきました。子どもにどう伝えていくか、という視点もありあすが、子どもの側から働きかけて情報を伝えてもらうと、大人は逆にドキッとして頑張るのではないか、という意見がありました。
森:質問や感想、ありがとうございました。