松本・岡田の古民家で「風のおとずれ」展 三代澤本寿の作品を体感できる空間

  • 2025年5月2日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 松本市出身の染織工芸家・三代澤本寿(1909-2002)の作品を展示する「風のおとずれ~三代澤本寿とその時間~」が現在、松本市岡田下岡田にある古民家で開催されている。(松本経済新聞)

 2階に展示するびょうぶ

 場所は2020年1月末まで「ナチュラルマーケットてとて」が営業していた築90年ほどの建物。1階には、型染め作品4点を展示。破れにくくなるような加工を施した強製紙を染めてパネルにしたもののほか、板に直接染色した作品もある。三代澤自身がデザインして、市内岡田にあったガラス工場で作ったというガラス瓶2点のほか、実際に使っていた型紙や装丁本も並べる。

 2階は、広い空間を生かしてびょうぶを配置。強製紙を染めた作品を天井からつるして見られるようにしたスペースもある。通称「ゴッホの椅子」と呼ばれている座編みの椅子や幾何学模様の布といった収集品や、新聞や雑誌に寄稿した文章なども紹介する。主催するまつもと市民アーツコレクティブの池田昇太郎さんは「作品はもちろん、仕事の一端に触れる資料も含め、三代澤の世界を空間全体で感じてもらえれば」と話す。

 三代澤は、染色家として数々の優れた作品を手がけると共に、民藝(みんげい)運動の普及にも尽力。現在は有志による「m.motoju会」が、市内中町にある「ギャラリー三代澤」(松本市中央2)を運営し、作品を管理している。

 昨年5月、まつもと市民アーツコレクティブが池上邸の蔵(中央3)で開いたイベントをきっかけに、「m.motoju会」から連絡があり、作品を見せてもらったという。まつもと市民アーツコレクティブの藤原佳奈さんは「こんなに素晴らしい作品がたくさん残っていることに驚いたし、より多くの人、特に若い世代に知ってもらいたいと思った」と振り返る。

 美術館や博物館、ギャラリーとは異なる空間で見てもらえるようにと企画。5月3日には市内で活動する中川文太さん(コントラバス)、柳沢耕吉さん(ギター)、作曲家の渡辺裕紀子さんが出演する「図と譜~三代澤本寿作品を聴く」、10日には池田さんと藤原さんによるパフォーマンス「図と話~三代澤本寿作品と話す」を開く(いずれも要予約)。池田さんは「地元の作家の作品を体感できる空間を、地元の人たちの手でつくり上げることができた。松本でしか実現できなかった企画を見にきてほしい」と呼びかける。

 開催時間は12時~18時。5月7日・8日は休み。5月11日まで。イベントの予約はウェブで受け付ける。

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