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第12回 「世界の中の日本~私たちのエコとエネの未来~」竹内 純子 氏

  • 2013年2月28日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ
カタール
第12回エコ×エネ・カフェ
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森:「世界を見てみよう、ということで、ここからは竹内さんが実際に行ってみた国についてのお話ですね。先ずはCOP18(気候変動枠組条約第18回締約国会議)が開催されたカタールですね」

竹内:「カタールは、皆さんにはあまり馴染みがない国ではないかと思います。中東にある国で、砂漠のど真ん中に高層ビルがどんどん建っていて、街中を走っているのは高級車ばかりで、ドバイに似ている印象かなと思いますが資源はドバイよりも豊富に持っていますから、とにかくリッチなんですね。LNG生産・輸出量は世界一を誇っています」

森:「日本もたくさん、カタールから輸入しているんですよね」

竹内:「カタールでは、7世帯に1世帯は金融資産100万ドル以上の富裕層、税金もないし、医療費もただ。結婚しただけで4,000万くらいもらえて、第四婦人くらいまで認められているらしいです」

森:「ドーハが首都で、人口は150万人しかいないんですよね?」

竹内:「はい。ですから、労働力は海外からの出稼ぎ頼みでもあります。ここで昨年、気候変動枠組み条約の締約国会議があったんですね。この会議は毎年11月から12月にかけて行なわれる会議で、温暖化対策などを話し合います。気候変動枠組み条約は、国連の気候変動に対する「憲法」のようなもの、基本的な構造を示しているものです。ここで基本的な精神、つまり経済発展も大事だけれど、それに影響のない範囲でみんなで気候変動に配慮していきましょう、というような根本原則が決められています。それをもっと具体的に、誰がどれくらい削減するのか、どうやって削減するのかを決めたのが京都議定書です。『減らします』というだけでは条約に対する国の約束にはなりませんから、具体的に決めていくんです。第一約束期間の間、日本は『チームマイナス6%』というようなキャンペーンを展開していましたね。この約束期間は昨年末で終わり、今年の1月から第二約束期間に入りましたが、日本は第二約束期間には参加しないことにしました。『環境を守るための条約に参加しないなんてなんて』と思われる方も多いかもしれませんが、理由は京都議定書に対する根本的な問題意識です。減らしましょうという約束をしたのが、先進国のほんの一部だったんですね。中国やインドは参加していません。中国は今や世界一の排出国ですが、京都議定書が採択された当時はまだまだそんな大排出国ではありませんでした。そして、新興国や途上国の多くは『温暖化は先進国が出した温室効果ガスで起こっているのだから、後から発展する我々に排出ガスを出すなというのは身勝手だ』と主張しているんです。確かに一理ありますが、1990年代当時の状況で先進国と途上国とを固定化する考え方では、実効性ある温暖化対策にはならない、ということで、日本は第二約束期間の不参加を決めました」

第12回エコ×エネ・カフェ
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森:「ひとことで言うと、COP18の成果は『大きな進展なし』ということですね。要するに決裂したに等しいということですか?」

竹内:「決裂はしていませんが、先送りですね。なんとか交渉分裂させないように繕っているといった感じでしょうか。何故、気候変動交渉がまとまらないかというと、根本的に、エネルギー消費量と経済成長というのは切っても切れない関係にあるんです。エネルギーを使うということは、温室効果ガスの排出が増えるということですが、それと経済成長は歴史的に見るとほぼ比例すると言われています」

なぜ気候変動枠交渉はまとまらないか
なぜ気候変動枠交渉はまとまらないか
GDP成長率と電力消費量変化率の関係
GDP成長率と電力消費量変化率の関係

竹内:「この表は、各国が経済成長をどれくらいしたか、それに伴って電力消費量がどれくらい伸びたかということを示しています。傾向として、GDPが伸びたら、電力消費量も増えるんですね。GDP成長と電力消費減を両立した『省エネ型成長』を実現したのは、90年代初頭のドイツだけですが、それは東西ドイツの合併による影響が大きいと言われています。東西ドイツの合併により、GDPは全体として伸びて、同時に、東ドイツのものすごく古くて効率の悪い工場・設備などをどんどん新しいものに変えたので、効率が良くなり電力消費量は削減されたということです。ここで皆さんの中に、ドイツは成功している、エコとエネが両立して素晴らしい国というイメージができたのかもしれませんが、日本に入ってきている情報は少し偏っているのではないかと思います」

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