竹内:「アルゼンチンには4〜5年前に訪れました。唯一先進国から後進国に転じた国と言われていて、経済学の本でよく紹介されていたので、興味があったんです。二度の世界大戦に直接関与せず、鉱物資源も豊富だったということもあり20世紀の半ばまでは世界有数の経済大国と言われていたそうです。1920年代のひとりあたり実質国内総生産は日本の約2倍で、当時は『アルゼンチン人に見えますね』というのは『お金持ちに見える』という意味の褒め言葉だったとか。けれども、欧米や日本がだんだん付加価値の高い産業構造に転換を図るなか、資源を大量に持っていることにあぐらをかいてしまったことなど複数の要因があると言われていますが、経済成長がストップし、国内総生産は下降して他国に大きく引き離されることになりました」
森:「先進国もこうなる可能性があるかもしれないという日本に対する危機感の表れでしょうか」
竹内:「最近の日本はアルゼンチンに学ぶべき点が多いと言われています。その理由のひとつが、政治がとてもポピュリズムに走っているということ。アルゼンチンでは、政治が大衆迎合的な、庶民受けするような施策に向ってしまった結果、気づいたらどうにも立ち行かなくなってしまったそうです」
森:「確かに、日本の政治も揺れていますよね」
竹内:「ベトナムには昨年、電力事情の調査で行ってきました。今、日本企業の多くが進出先としてベトナムやタイ、ミャンマーといった国を考えていて、電力の供給が十分あるのか、またベトナムは国の政策として、電気代を安く抑えていますがこれがいつまで続く見込みかなどを調査してきたんです。ベトナムではこれから原子力を導入する計画もあります。年15%ほど電力需要が伸びていて、とにかく、元気な国という印象を受けました。人口も、GDPも大きく伸びていますね。2010年にリーマンショックを体験し、今後はもう少し緩やかに成長しようという風に政策が変わってきているそうです」
森:「電気代は日本の1/3以下ですね。人口も絶対値では日本が多いですが国土面積は日本とあまり変わらないのですね」