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「地域循環圏」 詳細解説

読み:
ちいきじゅんかんけん
英名:
Resources-Circulating Sphere

循環型社会形成推進基本法に基づき2003年に策定された「第1次循環型社会推進基本計画」では、循環型社会づくりに向けた進捗状況をとらえるための物質フロー指標と、さまざまな主体の努力を通じて進捗状況を把握するための取組指標が設けられ、それぞれについての数値目標が設定された。一方、循環型社会を実現するためには、地域特性や循環資源の性質に応じて最適な規模の循環を形成することが必要となる。このため、2008年に改訂された「第2次循環型社会形成推進基本計画」に盛り込まれたのが地域循環圏だ。

地域循環圏は資源を可能な限り地域で循環させ、それが困難なものについては循環の環を広げていこうという考え方だ。地球温暖化対策や生物多様性保全などの環境面や、資源としての希少性や有用性、また、輸送効率や処理費用などの経済面などさまざまな観点から、循環資源ごとに最適な範囲での循環を、地域特性を踏まえて目指そうというものだ。たとえば、バイオマスのうちある一定の地域で発生し、かつ腐りやすい性質をもつ循環資源は、その地域で飼肥料に活用するが、バイオエタノールのように高度な処理技術を必要とするものは広い地域で循環させるといった具合だ。

地域循環圏は地域と循環資源の特質などに応じて、コミュニティ、地域、ブロック圏、全国規模、国際的なレベルのそれぞれの規模で構築される。たとえば、コミュニティ単位ではフリーマーケットリサイクルプラザなどの拠点を活用したリユース・リサイクルが、市町村やNGO/NPOなど多くの担い手により行われている。また、農山漁村では、家畜の排泄物や間伐材、生ごみなどが循環資源として飼飼料に利用されているほか、これらを使って生産された農水産物が地域内で食される地産地消が成り立っているところも多い。さらに、都市部などでも独自の地域循環圏が形成されている。

地域循環圏を構築するため、環境省は地域レベルでの計画策定に向けた検討を進めており、中部や近畿、九州ブロックで地方環境事務所が中心となって事前調査が行われた。同省はまた、循環型社会を低炭素社会や自然共生社会と一体的に構築していくことを目指す「低炭素型『地域循環圏』」整備推進事業」を行っている。地域循環圏の高度化や発展戦略の策定を進めるとともに、二酸化炭素(CO2)の排出量削減にも役立つ取り組みをモデル事業として支援する。

地方の動きを見ると、中部地方環境事務所は2009年度に、小売・外食業から排出される事業系一般廃棄物の食品残さを対象として課題を整理。翌2010年度にモデル事業を実施して、事業者同士や事業者と自治体間での相互連携や協働を推進する場となる地域協議会を立ち上げている。また、京都市ではマイボトルやリユース食器による販売や地域での環境情報発信を行う「エココンビニ」のモデル事業が行われた。

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