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「焼却灰」 詳細解説

読み:
しょうきゃくばい
英名:
Bottom Ash

家庭から出るごみは、廃棄物処理法に基づき地方自治体が収集して処理することになっている。このうち燃えるごみである可燃ごみは自治体の焼却炉で燃やされて処理されるが、その後に残った燃えがらのことを焼却灰という。焼却灰は、焼却時に発生する排ガスに含まれるばいじん(集じん灰)である飛灰と区別して、主灰とも呼ばれる。また、これらの灰を合わせて焼却残さという。清掃工場に受け入れられた可燃ごみは、ごみピットからクレーンで焼却炉へと投入される。高温焼却後に残った焼却灰は炉の底から灰ピットへと排出されることから、ボトムアッシュともいう。

焼却灰は、可燃物の灰分と燃え残りの未燃分から成る。自治体の清掃工場で発生した焼却灰などの焼却残さは、従来は最終処分場に埋め立てられて処理されていた。しかし、1980年代になって、清掃工場から排出される焼却灰にダイオキシン類重金属などの有害物質が含まれていることがわかり、焼却灰を土壌や地下水汚染を引き起こさないよう厳重に管理することが求められるようになった。

また、全国の自治体や清掃組合などが、焼却灰の無害化処理と溶融固化などによる有効利用に力を入れるようになった。焼却灰の無害化や最終処分量の削減を目的に、約1300℃の高温で溶融してスラグ化するなど、資源として活用する取り組みも行われてきた。さらに、巨大なキルン炉をもつセメント産業では、自治体から焼却灰や下水汚泥などを受け入れて処理してきた。

一方、ごみを燃やした時に出る排ガスからバグフィルターなどの集じん装置で取れる飛灰は、焼却灰と比べて発生量は少ないがダイオキシン類や重金属を多く含む。また、ごみを高温で熱分解する溶融炉からは溶融飛灰が発生する。飛灰は廃棄物処理法で定める特別管理廃棄物であり、固形物にしたり、溶融やセメントで固めたりしてから処分場に埋め立てる必要がある。飛灰を再生利用する方法として、金属分などを回収してから建築用の軽量骨材に加工する技術開発が進められてきた。

しかし、焼却灰を有効活用する取り組みは、2011年3月に発生した東日本大震災で被害を受けた福島第1原発の事故により中断を余儀なくされた。事故後の調査で、各地の清掃工場で発生する焼却灰から放射性物質が検出されたためだ。環境省は同年6月、清掃工場における焼却灰の測定と当面の取り扱いについての方針を示し、8月には8000Bq/kg以上10万Bq/kg以下の焼却灰処分に関する方針をまとめた。しかし、自治体による処分場の用地確保は難航し、処理や保管の先行きは不透明なままだ。

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