ごみなどを燃やして処理する時に発生する灰のうち、排ガス出口の集塵装置で集めたばいじんと、ボイラーなどに付いて払い落とされたばいじんの総称。焼却炉の底などから排出される主灰、いわゆる焼却灰と区別してこう呼ぶ。飛灰の発生量はごみ全量の約3%だが、主灰に比べてダイオキシン類を多く含み、焼却施設から発生するダイオキシン類の約9割が飛灰に由来するという報告もある。また、鉛や亜鉛、カドミウムなどの重金属なども多く含む。さらに、ごみを高温で熱分解する溶融炉からは溶融飛灰が発生する。
ごみ処理施設から発生する飛灰は、廃棄物処理法で定める特別管理廃棄物であり、必要な基準を満たして処理しなくてはならない。重金属の溶出を防ぐためにキレート剤などの処理剤を加えて固形物にする方法や、溶融固化、セメント固化、酸などの溶媒を使って抽出する方法などにより中間処理を施し、処分場に埋め立てる。
一方、2011年3月の東日本大震災に伴う原発事故で発生した放射性セシウムが、焼却灰だけでなく飛灰からも検出されている。国立環境研究所の報告によると、飛灰には元の廃棄物と比べて約20~30倍の放射性セシウムが濃縮されている。放射性セシウムは水に溶け出しやすいことがわかっており、漏出のリスクを低下させるための技術開発が進められている。