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「長期目標(地球温暖化対策)」 詳細解説

読み:
ちょうきもくひょう(ちきゅうおんだんかたいさく)
英名:
Long-term GHG Reduction Target

2050年における温室効果ガスの削減目標を長期目標という。2008年7月に北海道洞爺湖地域で開催されたG8サミット(北海道洞爺湖サミット)では、2050年までに二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量を、世界全体で少なくとも半減することを達成するという目標について合意がなされた。また、日本は2050年までに60〜80%の削減を目指すという長期目標を掲げた。ちなみに日本の中期目標は2020年に1990年比で25%の削減を目指すというもので、鳩山総理が2009年9月に国連気候変動首脳会合で表明した。

環境省は当初、気候変動枠組条約の目的や目標を達成していく上で、2020年くらいまでの削減目標を「短期目標」、同じく2030〜2050年を「中期目標」、2100年以降を「長期目標」と設定することが有効であるとしていた。一方、国立環境研究所や大学の研究者の中には、脱温暖化政策を進める上で2020年までの中期シナリオと2050年までの中長期シナリオを構築すべきであるという意見があった。その後、日本が2007年の「クールアース50」で、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出を半減すべきであると世界へ提案した頃から、2020年までの削減目標を中期目標、同じく2050年までを長期目標と呼ぶことが国際社会でも一般化した。

すでに述べたように、日本の長期目標は2050年までに60〜80%の削減を目指すというものだ。しかし、環境省はその最大削減率である80%の削減が可能であるとして、「温室効果ガス2050年80%削減のためのビジョン」を2009年8月に公表した。同ビジョンでは、家庭や事業所での冷暖房のほか、生活や事業活動に必要な移動などのサービスに関する需要を満たしつつ、技術開発を進めてそれを活用していくことで、エネルギー需要を4割減らすことが可能であると指摘。供給側の低炭素化も進めることで、2050年に2005年比で80%削減することができるとしている。

一方、2009年4月1日現在の先進諸国における2050年までの長期目標を見てみると、まずEU(欧州連合、27カ国分)は、EU環境相理事会が先進国全体で1990年比60〜80%(削減、以下同じ)という目標にすることで合意している。また、英国は「気候変動法」で同80%以上を目指しており、フランスも「環境グルネル法」で同75%という目標を掲げている。さらに、米国は2005年比83%、カナダは2006年比で60〜70%、豪州は2000年比で60%という目標の達成をそれぞれ目指している。

2009年12月にデンマークで開催される「気候変動枠組条約第15回締結国会議(COP15)」では、2013年以降の国際的な枠組みであるポスト京都議定書ポスト京都)のあり方が決められる。COP15での合意を確実なものにするためにも、各国が長期目標や中期目標の達成に向けた努力を続けていくことが重要だ。

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