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「不法投棄」 詳細解説

読み:
ふほうとうき
英名:
Illegal Dumping

廃棄物の不法投棄土壌汚染水質汚染などの環境汚染を引き起こすと同時に、不法投棄された場所の原状回復に膨大な費用がかかるなど、大きな社会問題となっている。廃棄物には家庭ごみなどの一般廃棄物と、事業活動によって排出される産業廃棄物があるが、とくに問題になっているのは産業廃棄物だ。

香川県の豊島に自動車のシュレッダーダストなどが大量に不法投棄された問題をはじめ、岩手県と青森県の県境における国内最大級の不法投棄、岐阜県の中間処理業者が自社の敷地内などに産業廃棄物約56万トンを不法投棄した問題など、大型の不法投棄が1990年代から2000年はじめにかけてクローズアップされてきた。このような大型の不法投棄以外にも、全国各地の山林、沼地、河川などに産業廃棄物が不法投棄されているのが現状である。
産業廃棄物は、排出者が責任を持って処理するか、一定の資格をもつ処理業者に委託しなければならないとされている。しかし、最終処理場の不足、処理料金の上昇などの問題もあり、排出事業者や産業廃棄物処理業が不法投棄したり、無認可の処理業者が産業廃棄物を請け負って、不法投棄するケースが続出する事態となっていた。

これに対して、政府は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を1997年と2000年に改正、産業廃棄物の排出事業者の責任を強化し、産業廃棄物管理票(マニフェスト)によって、産業廃棄物の流れを把握、管理を徹底させ、違法した業者などへの罰則の強化などの施策を打ち出した。その結果、不法投棄量は件数では2002年度が934件、2003年度は894件と減少傾向にあり、また、不法投棄量もそれまでは毎年40万トン前後で推移してきたものが、2002年度は約32万トンまで減少した(環境省「産業廃棄物の不法投棄の状況」)。2003年度は岐阜県の中間処理業者による大量不法投棄の影響で約75万トンに上昇するが、岐阜県の不法投棄を除けば約18万トンに減少して、全体的には改善傾向にあるといえる。しかしながら、マニフェストの偽造問題が発覚したり、悪質な不法投棄業者が後を絶たないのも現実である。また、不法投棄による環境汚染などによって、地域住民の産業廃棄物に対する不信感が高まり、処理施設の新たな建設がさらに困難になり、処理場の不足がまた不法投棄を誘発するなど、悪循環を引き起こしている。

産業廃棄物の不法投棄を解決するためには、生産から廃棄物の最終処分までの流れの中で、川下の対策だけではなく、川上における生産者の廃棄物管理に対する責任を明確にすることが必要だ。OECD(経済開発機構)では、生産者の責任を生産した物品の廃棄物処理段階まで拡大しようという「拡大生産者責任」の考え方を導入しようとしている。わが国でも「廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」や「容器包装リサイクル法」「家電リサイクル法」「自動車リサイクル法」などの個別リサイクル法などで、製造事業者に材料の再資源化や自主回収などを義務づけている。

不法投棄を根本的に解決するためには、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会構造を見直すことが重要であり、市民、行政、生産者などが一体となって問題に取り組むことが求められている。

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