森:鈴木さん自身は今のエネルギーの事情をどう思っていますか?
鈴木:化石燃料の枯渇や食糧自給率の低下など、いろいろな問題がありますし、バイオエネルギーのように、エネルギーと食糧問題が対立しているテーマもありますよね。例えばトウモロコシは、バイオエタノールにすることもできますが、食糧としても使われます。けれども、商売というのは高く売れる方に向かいがちですから、どうしても商売が優先されてしまうことがあります。こういった問題のすべてがミドリムシで解決できるわけではないですが、私は、エネルギーといった社会の問題の解決に向けて、ミドリムシで戦えるところまで戦っていきたいと思っています。
森:「ミドリムシで地球を救う」ことを目指しているユーグレナさんですが、その実現を阻む障害を感じることはありますか?
鈴木:自分の能力の限界が一番の障害かなと思いますね。だから、これからも努力して研究に励んでいきたいです。
森:ここからはJ-POWERの藤木さんにも参加いただきましょう。
藤木:我々も石炭火力を使っていますが、最近はシェール層からオイルやガスが発見され、そこへの関心も高まっています。こういうことが、鈴木さんにとって、脅威となることはないですか?
鈴木:確かにそういう世の中の動きはありますが、株式会社ユーグレナとして、開発をずっと続けていかなくてはならないという気持ちは変わらないですね。
藤木:地球の中にある資源をわざわざ掘り出して使っていくのではなく、ミドリムシを活用していこうというのが、株式会社ユーグレナのアプローチなのですね。石炭火力からたくさんCO2が排出されますから、ミドリムシがそれを回収する技術が成功したら素晴らしいですね。
鈴木:いろいろな課題がありますが、私たちは、ミドリムシを扱うプロフェッショナルとして、研究開発に取り組み、社会に貢献していけたらと思っています。
さて、鈴木さんからの話題提供を受けて、これからはワールドカフェでの対話の時間です。「議論ではなく、対話ですよ。他の人たちの意見を聞くことを大切にしてくださいね」と森さんの言葉を受け、テーブルごとに、与えられたトピックについて話し合っていきます。