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第8回 「地域・需要からエネルギーを見てみると」川北 秀人 氏

  • 2012年2月16日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ
風土に合わせたエネルギーの活用

日本と同じように国土の7割ほどが森の国、フィンランドではバイオマス・エネルギーをうまく活用し、全体の2割をまかなっていて、薪を活用した発電を活用する集落も100以上あります。先日、フィンランドの方に「世界にそういうことが可能な地域はあるか」と尋ねたら、「ジャパン」と言われました。どうしてもっと日本では使わないのかと。千葉大学とNPOが共同で調査したところ、日本全国の1,783自治体のうち、再生可能エネルギーによる自給率が100%を超えている自治体は50以上あることがわかりました。これらの自治体では、主にバイオマスや地熱を活用していて、バイオマスだけで地域のエネルギーの2割をまかなっているところもいくつかあるそうです。岡山県真庭市が有名ですね。
私たちが維持しなくてはいけないインフラの費用や日本政府の財政状況を考えると、本当に全国の隅々までインフラを維持し続ける必要があるのか、そもそも維持し続けられるのか。地域で独立してまかなえるしくみを作ることはできないかと考えることも、必要だと思います。エネルギーの地産地消を促進するための補助金制度を導入するなどの方法で、それぞれの地域・風土にあったエネルギーの作り方、使い方を考えていくことをもっと推進できるのではないかと思います。

資料をマークしながら川北さんの話を聞く参加者たち
資料をマークしながら川北さんの話を聞く参加者たち
資料をマークしながら川北さんの話を聞く参加者たち

「適地適発」と「産地直用」
省エネを、地球のためではなく、自分自身の経済のために見てみると?
省エネを、地球のためではなく、自分自身の経済のために見てみると?
省エネを、地球のためではなく、自分自身の経済のために見てみると?

経済産業省によると、2009年に家庭のエネルギー使用量のうち、暖房だけで約25%、給湯に28.7%と、生活で使うエネルギーの5割が熱のために使われていることがわかりました。ここで「わざわざ電気を熱にするべきか」と、みなさんにぜひ考えて欲しいんです。近くに他に使える熱があるなら、まずはそれを先に使うというしくみが考えられないかと。日本国民は1年間で2,000万キロリットル、円換算すると2兆円分もの灯油を使っています。そのほんの1割でも、再生可能エネルギーに切り替えることが出来たら、毎年2,000億円もの節約ができるんです。だからこそ、地域の再生可能エネルギーの導入を進めませんかと、私は提唱しています。「適地適発」(その地に合った方法で発電する)と「産地直用」つくった場所(の近く)で使う)」を組み合わせることで、日本全体のエネルギーコストを抑えていく方法です。

メモを取りながら聞く参加者たち
メモを取りながら聞く参加者たち
スマートグリッドと地産地消
スマートグリッドと地産地消

主体的に共有を考える

けれどもバイオマスを導入しようとすると、今度は薪などを運ぶコストが問題となります。こういう課題に対応するためにも「私のため」だけでなく、「地域の共同体として」購入を検討するなど、利用者が集団化することでメリットを享受できるしくみをつくることも大切です。
共同体・共有体は、寒冷地の過疎地でも問題になっていますが、高い光熱費を必要とする、孤独死などの可能性が心配される一人暮らしの高齢者に、冬の間だけでもまちなかの集合住宅に移り住んでいただくことによってみんなでシェアする暮らしの中で支えていくことが出来ないか、ということも考えられます。このように主体的に共有を考えることで、どんな領域でも課題解決のヒントを導き出す可能性があるということを、みなさんに是非考えていただきたいと思います。

トークの間には参加者とのやりとりも
トークの間には参加者とのやりとりも
トークの間には参加者とのやりとりも

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