ワールドカフェの体験が初めての人もいるため、最初のラウンドではいつも少し緊張感が漂います。「髙倉さんの話を聞いて、どう思いましたか?」「インドネシアに行ったことはありますか?」。メンバーの顔色を見ながらゆっくりと対話に入っていくテーブル、模造紙にどんどんと書き込み積極的に対話を進めていくテーブル。メンバーの構成により対話の進行に個性が表れるのも、ワールドカフェの特徴の一つです。
「このままではよくない、変わらなくてはという危機感はもともと持っていたけれど、その方法が分からず、道を示してくれる人が必要だったということだと思います。髙倉さんと会うことがそのきっかけになったのでしょう」。「いくらいい技術があると説明しても、完成した魔法のバケツに触れてみて、実際の変化を体験するまでは受け入れてもらえなかった。信頼関係を築くことが大切なのだと思いました」。「押し付けられるのではなく『自分たちにも出来るかもしれない』という気持ちが芽生えたことがよかったのだと思います」。「知ることだけでは変わろうとまで踏み込めなかった。やっぱり情熱に押されたところが大きいんじゃないかな。情熱に押されて、受け入れて、自分たちでできることを知って、それがどんどん、周りにも広がっていくようになった」。
「ニーズの掘り起こしがうまかったのだと思います。現地調達のもので、しかも現地の暮らしにあったものが作れた。だから、精神的な壁を乗り越えると同時に、すんなりと受け入れることができた」。「髙倉さんが、現地の人と同じ水を飲んで身体を張ってやったことが大きかったと思う。普通はあそこまでできないし、あきらめてしまったと思う」
現地の実状にあった適正技術を使ったこと、情熱というエネルギーが注がれることにより好循環が生まれた。それがいいきっかけになった。そんな意見が多く聞こえてきました。
「ネパールでも生ごみコンポストを展開しようとしていますが、気候の違いなどの理由もあり難しいのが実状です。インドネシアは生ごみコンポストが成功する気候帯にあるので、一度受け入れられると展開がしやすいのでしょうね」。山中さんは自分の経験をもとに、このような意見を共有してくれました。
実はネパールでもJICA海外青年協力隊員により、既に600世帯以上が髙倉メソッドに取組んでいます。現地での最適化と少しの工夫で厳しい条件でも実施可能なところが髙倉メソッドの真髄です。