Q.コンポストはどれくらいの時間をかけて開発したのですか?
最初に現地に赴いてからみんなが使ってくれるようになるまでに1年くらいかかりましたね。ジェイペックでの業務を行う傍ら、短期出張で現地との往復を繰り返してがむしゃらになって取り組みました。必ずしもすべての人から支持されていたわけではなかったと思いますが、「自分のやっていることは絶対に間違っていないし、最後にはきっと成果となって表れる」という信念を持って取り組み続けました。
Q.そこまでして頑張ったモチベーションは何だったのでしょう?
幅広くいろいろな人たちと交流しながら環境問題に取り組み、社会に貢献したいという気持ちを、昔から強く持っていました。一緒に現地に行った相棒とも「絶対に何かを残して帰ろう」と決めていたので、あきらめるという選択肢は考えませんでしたね。それから、技術者としてイノベーションを手がけたいという思いもありました。
Q.完成したコンポストを見た現地の人の反応は?
見たことも使ったこともないものですから、最初は誰も信用してくれず、受け入れようとしてくれませんでした。そこで、セミナーを開催したり地域の人たちを訪れて直接説明する機会を何度も設けることを通じて、少しずつ理解してもらい、受け入れてもらえるようになっていきました。現地のメディアに取り上げてもらったことも大きかったかもしれません。
現地の人たちへの普及啓発
現地の雑誌の表紙で「Keranjang Sakti Takakura(クランジャン・サティ:髙倉の魔法のバケツ)」として紹介された
Q.魔法のバケツ導入による変化は?
生ごみコンポストと出会うことによって、今まで捨てていたものを堆肥に変えて、さらに町を緑にすることができると知ったことが、「自分たちに出来ることがある」という自信につながったのだと思います。緑が豊かで、清潔な町で暮らしたいという思いはもとからあったとは思いますが、それを変える術を知らなかっただけなのですね。現在は町も綺麗になって、環境に対する意識も確実に変わっていったと思います。
プロジェクト開始前の様子
プロジェクト開始前の様子
生ごみコンポスト導入後。堆肥の活用により、緑も豊かになった