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「緑化」 詳細解説

読み:
りょくか
英名:
Green

樹木や草花などの植物は、個々の生物としてはもちろん、森林や草原などの緑の空間を形づくって生態系を支えている。しかし、その緑をはじめとする生物多様性が、近年急速に失われつつある。国連食糧農業機関(FAO)の世界森林資源評価によれば、陸地面積の約3割を占める森林は熱帯林を中心として減っている。また、森林面積の36%を占める原生林は、消失や転換によって年間で600万haも減少している。この傾向は日本でも見られ、国が行っている「自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)」によると、自然林に自然草原を加えた自然植生は2割を切っている。こうした状況に歯止めをかけるため、樹木や草などの緑がないところや失われた地域に植物を植える「緑化」の活動が、世界中で行われている。

わが国では、自然環境保全法に基づいて自然環境を保全することが必要な地域を環境大臣が原生自然環境保全地域に指定し、開発行為などを厳しく制限している。また、それ以外で自然環境を保全すべき地域を自然環境保全地域に指定している。一方、国は国有林のうち自然環境の保全に特に配慮すべき区域を保護林に指定して、モニタリング調査などの保護管理を行っている。保護林は2009年4月現在で全国841カ所、約78万haある。また、災害防止などの公益的機能が求められる森林を保安林に指定して、伐採や転用などが行われないように規制している。このほか、巨樹・巨木林の保護や森林環境教育里山林の保全・利活用、森林ボランティアとの協働による森づくり活動などが実施されている。

一方、都市部では都市公園法に基づく都市公園の整備や、都市緑地法に基づく特別緑地保全地区の指定、地方自治体による土地の買い入れなどが行われている。この中で、都市緑地法は都市緑地保全法の改正でできた法律で、景観法などとともに「景観緑3法」として2005年6月に施行された。同法は都市における緑地の保全と緑化、都市公園の整備推進などを目的として、保全地域における緑地保全のための規制や緑化地域における緑化率などを定めている。また、工場の緑化に関する法律に工場立地法があり、敷地面積に対する緑地や環境施設の面積率の基準などを定めている。

都市部における緑化の技術として注目されているのが、ビルや住宅などの屋上や壁面を緑化する屋上・壁面緑化だ。屋上・壁面緑化には都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和や、地球温暖化の防止、景観形成など多くの効果がある。国土交通省によると、全国の2009年における屋上緑化の施工面積は約27.9haだ。また、壁面緑化の施工面積は約6.4haで年々増加している。2000年から2009年までの間の累計施工面積は、屋上緑化が約272.7ha、壁面緑化が約31.7haとなった。こうした屋上・壁面緑化には、軽量の人工土壌を置いて樹木を植えるものや、コケを使うものなどさまざまな手法がある。

一方、砂漠化や乾燥化が進んだ土地に木や植物を植えて植生を回復する緑化活動が、世界各地で行われている。日本は中国やアフリカなどで砂漠緑化を通じた国際協力に力を入れており、NGO/NPOをはじめとする民間団体や企業、個人による取り組みも盛んだ。

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