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海野和男のデジタル昆虫記

マクロスイターとアルパ(クラカメマクロ図鑑2)

マクロスイターとアルパ(クラカメマクロ図鑑2)
2001年01月06日

これはアルパ9D。1965年頃の生産のものだ。アルパはスイスの時計メーカーが作っていたカメラで、当時最も高価なカメラであった。大体ライカM3などの2倍近くした。79年のカタログだとアメリカでマクロスイター付の10Dが約2000ドル、11siは3000ドルした。日本円が1ドル200円以上した時だから、それは恐ろしく高いカメラであった。9Dの値段はわからないが、1000ドル以上はしただろう(円は360円)。65年ごろといえばオリンピックの前の年。多分公務員上級職の初任給がドル換算で70ドルぐらいだったろう(1970年に100ドルちょっとだった)。つまりボーナスも含めて一年分の給料でやっとカメラ一台買えた計算になる。
 アルパは1944年から生産をはじめ、1980年代後半に生産を終えた。たくさんのモデルがあるが全部合わせて4万台少しという少量生産のカメラである。この9Dは最もたくさん作られた。といっても1964年から1969年にかけてわずか5000台である。
 有名なのはレンズのマクロスイターである。初期タイプはF1.8、後期はF1.9である。いずれも1/3程度までの拡大しかできないが、基本的にはマクロレンズが標準レンズであるところがすごい。
 このレンズの描写はボケが素晴らしく、そしてなおかつピントのあったところはシャープで、魔法のレンズと称賛されるほどだ。なにしろこれより明るいマクロレンズは未だかって無いのである。(正確には最終の生産のころ日本のメーカーに作らせたオートアルパマクロ1.7というのがある)これに対抗できるやわらかいボケを持ったマクロレンズは恐らくオリンパスズイコーマクロ50mm/F2ぐらいではないだろうか。
 接写用品が豊富なのがアルパの特徴で、写真のベローズは縦横変換機能付きである。レンズに絞り込みボタンがあり、ボディーに付けるとシャッターボタン兼用になる。ベローズに付けるとダブルレリーズでオート絞りがきく優れものだ。ダブルレリーズはレンズにつく方が90度曲がっていて、被写体に触れたり、レンズの前にレリーズがでてけられたりしないようになっている。写真右下は接写リングにリバースアダプターをセットした状態だ。高価なのと接写用品が豊富なので医者に好んで使われたと言われている。

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