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家庭菜園におすすめ!簡単「ストチュウ水」の作り方

  • 2022年12月3日
  • NUKUMORE

家庭菜園好きなら知っておきたい「ストチュウ水」について、その効果や、簡単に手づくりする方法を、写真付きで丁寧に解説します。葉面散布して生育促進しましょう!

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01 酢、焼酎、木酢液が効く

野菜は水道水よりも雨が好き、ストチュウ水は雨の代用

ストチュウ水とは、長野県長野市で自然菜園スクールを主宰する、竹内孝功さんが推奨する、野菜への水やりの際に与えるスペシャルな水のことです。

「ひと雨降ったあとの畑を眺めると、野菜の葉がキラキラと輝き、とても元気そうな印象を受けます。野菜の生長に水は欠かせないものですが、経験上、水道水を与えても野菜はそれほどにはよろこんでくれません。
水道水と雨には何か決定的な違いがあると思っています。たとえば雷の多い年はイネが豊作になることが知られていますが、実際、雷を伴う雨の中は窒素含有量が多いことがわかっています」と竹内さん。

そこで、水道水に代わるものとして竹内さんが考案したのが、酢、焼酎、木酢液をほんの少量ずつ水にたらしたストチュウ水です。

「ストチュウ水はいわば“人工の雨”です。私は、ビニールハウスで育苗をしています。そのため苗には雨がかかりません。
育苗中はほぼ毎朝水やりをしますが、水道水ではなく、ストチュウ水を与えると、病気にも強く、苗の生育が明らかによくなることがわかりました。
その後、酢、焼酎、木酢液の配分をいろいろ変えて試行錯誤をして落ち着いたのが、現在私が育苗や畑の野菜づくりに利用している混合配分のストチュウ水です。野菜の葉にかかる水はとても重要です」と、竹内さん。

野菜は根からだけでなく葉からも養水分を吸う

野菜が養水分を吸うのは根からだけではありません。
雨やストチュウ水が野菜の葉にかかると、水分や含まれる成分の一部は、葉面から直接吸われて、野菜に利用されます。

陸上に生き物が進出する以前の太古の時代、生物の生息圏は紫外線を避けられる海の中でした。シアノバクテリアや植物など、光合成をする生き物が海中に増えると酸素が大量につくり出されました。そのおかげでオゾン層が形成されると有害な紫外線が遮られて、植物を含めて生物は陸上に進出できるようになりました。

植物はもともと海中にいたときには体全体から養分を吸っていましたが、地上に土ができてくる過程で根を発達させ、共生微生物を獲得して根から養分を吸収するようになりました。根からの吸収がメインですが、今でも植物には葉面から養分を吸収する能力が残っています。

「ストチュウ水を定期的に葉面散布すると、野菜は病害虫に強い健康体質に変わります。また、根が弱っていて養分吸収が悪いときでも、葉面からの直接吸収により野菜のトラブルは速やかに改善され、極度の乾燥、低温や長雨で生育不良の野菜の元気回復にも、ストチュウ水が有効です」と竹内さん。 ■ストチュウ水の原液を水で約1000倍に薄めて利用します。 bm1612_p36_flow_1_1668732097 ■野菜の葉にたっぷり散布します。 bm1612_p36_flow_2_1668732122 【関連記事】お酢のすごいパワー!「お酢で畑の生き物を活性化する方法」について

02 ストチュウ水のつくり方

醸造酢、焼酎、木酢液を混ぜストチュウ水の原液をつくる
ストチュウ水(原液)のつくり方はいたって簡単です。醸造酢、焼酎、木酢液(または竹酢液)を同量ずつ混ぜるだけです。

葉面散布をする度に、ジョウロの水に醸造酢、焼酎、木酢液を少量ずつ入れても構いませんが、原液をあらかじめつくっておけば便利です。

*材料

・醸造酢………300ml
・焼酎…………300ml
・木酢液………300ml

●醸造酢は、穀物酢、果実酢などを利用。
●焼酎は安価なアルコール度数25度程度の甲類焼酎で構わない。
●木酢液のほか、竹酢液でもよい。
●保存用に1Lのペットボトルを用意。

*作り方

3種の材料を同量ずつ混ぜる
3種の材料を同量ずつ混ぜたらよいので、1Lのペットボトルを保存容器として利用するなら、それぞれ300mlずつを量って合わせます。
何度かボトルを振って混ぜたらストチュウ原液のできあがりです。 bm1612_p36_flow_3_1668732287

*保管方法

つくった原液はペットボトルで保管
キャップを締めて冷暗所で保管し、ワンシーズンを目安に使い切りましょう。
後述の通り、水で薄めて葉面散布に使いますから、900mlの原液があれば、7Lのジョウロなら40回以上利用できます。 bm1612_p36_flow_4_1668732309

*使い方の基本

水で十分に薄めて野菜に散布する

ストチュウ水を葉面散布する際は、水で十分に薄めること。濃い濃度で散布すると葉が傷みます。木酢液の原液は除草に利用されるくらい強烈ですから注意してください。

希釈にはペットボトルのキャップがメジャー代わりになります(キャップ1杯が約7ml)。ジョウロやバケツに7Lの水を入れたら、キャップ3杯の原液を入れて混ぜます。 ★7Lの水にキャップ3杯の原液を混ぜる bm1612_p36_flow_5_1668732555

03 スーパーストチュウ水のつくり方

プラスαで機能を高めたスーパーストチュウ水
「私の畑では、育苗中や畑で生育中の野菜に、ストチュウ水を葉面散布に利用していますが、ストチュウ水にプラスαを加えて機能を高めた〝スーパーストチュウ水〟も手づくりしており、野菜の様子を見て利用しています。」
と、竹内さん。

卵の殻を利用してカルシウムを補った「カル酢入りストチュウ水」、苦土石灰を利用してマグネシウムを効かせる「マグ酢入りストチュウ水」、マイエンザを加えた「マイエンザ入りストチュウ水」、ミネラル豊富な「貝化石入りストチュウ水」の4種のスーパーストチュウ水です。
プラスαの原液は、ストチュウ水原液とは別容器で保存しておきます。葉面散布をするときに、プラスαの原液とストチュウ水原液を水に加えて希釈します。
なお、酢や木酢液は濃すぎると除草剤にもなるので、希釈倍率に注意して十分に薄めて使用してください。 bm1612_p36_flow_6_1668732690

①カル酢入りストチュウ水

トマトの尻腐れやナスのガク割れを防ぐ

卵の殻(白身で濡れたままでいい)のカルシウムを、醸造酢の酸でキレート化(野菜が利用しやすい形)させた「カル酢」をつくり、ストチュウ水と混合して葉面散布に利用します。
カルシウム不足で起こるトマトの尻腐れやナスのガク割れを防げます。
カルシウムを好むホウレンソウもよく育ちます。 bm1612_p36_flow_7_1668732757 01 卵の殻を細かく砕き、醸造酢を注ぎます。 bm1612_p36_flow_8_1668732770 02 一晩置けば完成です。殻が半分くらい溶けています。 bm1612_p36_flow_9_1668732779 03 7Lの水にストチュウ原液をキャップ2杯、カル酢を1杯入れます。 bm1612_p36_flow_10_1668732787 04 トマトに尻腐れ果が出たら、株の頭からたっぷりと散布します。次からの尻腐れ対策になります。 bm1612_p36_flow_11_1668732795

②マグ酢入りストチュウ水

苦土石灰を利用してマグネシウム欠乏に対処

マグネシウムは葉緑素をつくるのに欠かせない要素です。不足すると光合成の効率が悪くなり生育が阻害されます。葉の葉脈以外の色が薄く変色していたらマグネシウム欠乏が疑われます。

土中にマグネシウムがあっても、根にトラブルがあったり、肥料過多の畑や土が乾燥すると野菜はマグネシウムを吸収しにくくなります。なお、カルシウム欠乏も同様の原因で起こります。

マグ酢は、大さじ1杯の苦土石灰を100~150mlの醸造酢に混ぜてつくり、1日置いて上澄み液を利用します。
7Lの水に、キャップ2杯のストチュウ原液とキャップ1杯のマグ酢を加えて混ぜて葉面散布します。
葉から速やかにマグネシウムを吸収して、トラブルが解消されます。 苦土石灰と醸造酢を混ぜてつくった「マグ酢」です。 bm1612_p36_flow_12_1668732858 材料を混ぜるとブクブクと泡立つので、つくる量よりも大きめの容器を用意します。
次の写真は、マグネシウム欠乏のナス。下段の方の葉が、葉脈を残して黄変しているのが見えます。 bm1612_p36_flow_13_1668732869 01 土づくり資材の苦土石灰を利用。大さじ1杯を用意します。 bm1612_p36_flow_14_1668732880 02 醸造酢を100~150ml加えて、容器を振ってよく混ぜます。一晩置いたらできあがりです。上澄み液を利用します。 bm1612_p36_flow_15_1668732889

③マイエンザ入りストチュウ水

有用菌や酵素がたっぷり!葉面の微生物相を整える

「マイエンザ」は、ドライイースト、ヨーグルト、納豆などで手づくりする微生物資材です。
散布すると葉面微生物がバランスよく活性化し、野菜の生長が促されます。生育中の野菜に散布するほか、購入した苗や育苗中に弱った苗への散布もおすすめで、丈夫な苗になります。
7Lの水に、キャップ2杯のストチュウ原液と1杯のマイエンザの原液を混ぜたものを、葉面散布します。

④貝化石入りストチュウ水

多様な微量要素を含んだミネラル強化ストチュウ水

土づくり資材の貝化石を醸造酢に混ぜ、その上澄み液をストチュウ水にプラスして葉面に散布すると、健康な野菜づくりに役立ちます。貝化石のほかに、かき殻石灰も利用できます。
カルシウム、マグネシウムのほかに、マンガン、鉄、亜鉛、ホウ素など、野菜が必要とするさまざまな微量要素を含むスーパーストチュウ水になります。 01 粉末の貝化石が溶けやすいのでおすすめ。 bm1612_p36_flow_16_1668732946 02 大さじ1杯の貝化石と100~150mlの醸造酢を混ぜて一晩置いたら完成。7Lの水に、キャップ2杯のストチュウ原液と1杯の上澄み液を混ぜて利用します。 bm1612_p36_flow_17_1668732954

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