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「家電リサイクル法」 詳細解説

読み:
かでんりさいくるほう
英名:
Home Appliance Recycling Law

かつて、一般家庭から排出される家電製品の約8割は小売業者により、約2割は市町村により直接回収され、その約半分が直接埋め立てられ、残りのほとんどは粗大ごみとして直接埋め立てられるか、破砕処理されて一部の金属だけが回収されたのちに廃棄されていた。そこで資源を有効利用するとともに、廃棄物を減らすために、「エアコン」「テレビ(ブラウン管式)」「電気冷蔵庫」「電気洗濯機」の4品目の家電製品について、小売業者による引取りや製造業者などによるリサイクル(再商品化)を義務づける家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)が1998年に制定され、2001年4月より本格施行された。2004年4月からは、これらに家電製品に「電気冷凍庫」が追加された。

家電リサイクル法の施行により、4品目について、メーカーの引き取り義務や再商品化等実施義務をはじめとする関係者の役割が定められ、費用請求の流れやマニフェスト制度なども整備された。全国の指定引取場所における引取台数は微増し、メーカーなど業界の自主的取り組みが進み、全国に家電リサイクルプラントが建設されている。この4品目がリサイクルすべき家電として選ばれた理由は、ごみになる電気製品の中でも高い割合を占めており、市町村等による再商品化等が困難なこと、鉄や金属・ガラス類など、リサイクルしやすい素材のウェイトが高いこと、購入時には通常小売店から配送され、リサイクルの流れをつくるのが合理的であることなどによる。

排出者(消費者など)は、これらの家電製品を廃棄する際は、廃家電を小売業者に引き渡し、収集・運搬費用とリサイクル費用を支払うと、管理票(家電リサイクル券)の写しが交付される。小売業者は、これを製造業者または製造業者の指定引取場所へと運ぶ。製造業者は引き取った廃家電のリサイクル(再商品化)の義務を負う。4品目それぞれに再商品化率が決められており、エアコンが60%以上、冷蔵庫と冷凍庫が50%以上、テレビが55%以上、洗濯機が50%以上となっている。

2005年度の家電4品目のリサイクル実施状況を見ると、全国の指定引取場所における引取台数は1万744台、全国のリサイクルプラントにおける引取台数は1万777台となっている。また、家電4品目を製造業者や指定法人が再商品化した割合は、エアコン84%、テレビ77%、冷蔵庫66%、洗濯機75%となっている。さらに、2002年10月にフロン回収破壊法が完全施行されたことを受けて、家電リサイクル法が改正され、電気冷蔵庫と電気冷凍庫の断熱材に含まれるフロン類の回収・破壊が義務づけられることになった。これにより、冷蔵庫やエアコンの冷媒、断熱材として使用されていたフロン類の回収、破壊の状況も公表されている。

一方、家電リサイクル法施行後、家電4品目の不法投棄台数は増えつつあるほか、廃パソコンや廃冷蔵庫は鉛やカドミウムなどの有害物質を含むいわゆる「E-waste」について、部品取りや金属回収を目的としたアジア地域などへの越境移動が行われており、途上国での環境や健康への悪影響が懸念されている。同法は、施行後5年が経過する2006年に見直しの議論が開始されることになっており、環境省経済産業省がそれぞれの審議会の中にある部会やワーキンググループで、改正に向けた議論を続けている。

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