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「レッドリスト」 詳細解説

読み:
れっどりすと
英名:
Red List

地球上に出現した動植物種の9割以上がすでに絶滅し、現在も日々多くの動植物種が絶滅したり、危機に瀕したりしている。国際自然保護連合(IUCN)は、そのような絶滅のおそれのある動植物を「レッドデータブック」としてまとめ、1966年から発行している。野生の動植物を守るのに必要な、生息状況などの基本情報が掲載されている。一方、IUCNは世界中の絶滅のおそれのある動植物種の中から、保護すべき優先順位を決めるための情報をランク付けしてまとめている。これがレッドリストで、掲載対象や項目などはレッドデータブックより多く、広範だ。

IUCNのリストは動植物を、絶滅(EX)、野生絶滅(EW)に加えて、最も絶滅の恐れが高い絶滅危惧1A類(CR)、絶滅危惧1B類(EN)、絶滅危惧2類(VU)、準絶滅危惧(NT)、軽度懸念(LC)、情報不足(DD)の8カテゴリーに分けている。2012年版のリストによると、絶滅危惧種の数は合計で2万を超える。このうち植物が最も多く9390種に及び、脊椎動物が7250種でこれに続く。昆虫などの無脊椎動物は3570種だ。

日本では1986年から環境庁、現在の環境省が「緊急に保護を要する動植物の種の選定調査」を実施した。その結果を踏まえて、専門家から成る検討会が、日本版レッドリストである「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」を作成した。個々の種に関する絶滅の危険度を、生物学的な観点から評価してリスト化したもので、5年ごとに見直される。また、このリストに基づき、日本で絶滅のおそれのある動植物種の生息状況をまとめたレッドデータブックが編さんされている。

日本版の分類群は、動物では哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)となっている。また、植物では植物1(維管束植物)と植物2(蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)となっており、合わせて10分類群がある。2012年8月に公表された第4次レッドリストでは、汽水・淡水魚類を除く9分類群について見直しが行われた。また、汽水・淡水魚類についても見直し作業が終了し、2013年2月に公表された。それらによると、絶滅のおそれのある種は、動物が678種、植物が908種の合計1586種で、前回公表時から増加した。新たなリスト掲載種を解説した新データブックは、2014年に公表される予定だ。

レッドリストはあくまで生物学的観点に立って絶滅の危険度を評価した基本情報であり、法的な規制を伴うものではない。それでも、人間の活動による自然への影響を「見える化」したデータとして、自然保護や生物多様性の保全などさまざまな分野で活用されている。たとえば、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種は、絶滅危惧1類・2類とされたもののうち、人為的な原因で生息・生育状況が狭められているものの中から指定される。また、環境省以外にも、地方自治体や研究機関、学会などさまざまな主体が独自のリストを作成している。

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