自然環境や野生生物、生態系を、人間活動などによる衰退や絶滅から保護すること。また、自然保護にかかわる運動を行う団体を自然保護団体という。自然保護団体には、WWFや国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)など、世界的に活動を展開する大きな団体から、地域で活動する小さな自然保護団体までさまざまなものがある。自然保護運動発祥の地と言われるイギリスをはじめとする欧米諸国では、自然保護法の制定や国立公園の指定が早くから進み、土地の買い取り運動を進めるナショナル・トラストなどの自然保護団体も生まれ、自然愛好家による取り組みが行われた。その後、こうした活動が一般市民にも波及し、自然保護運動は1970年代のアメリカで隆盛期を迎えた。自然保護に対する国際的な取り組みも進んでおり、主な条約として、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)(1971年)、絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)(1973年)、移動性の野生動物の保護に関する条約(ボン条約)(1979年)、生物多様性条約(1992年)などが策定されている。自然保護への取り組みは、現在は、個別種の保護はもちろん、生物多様性の観点から、さまざまな種を一体ととらえて保護する生態系管理の考え方や手法が主流になりつつある。