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「野生生物」 とは

読み:
やせいせいぶつ
英名:
Wildlife

自然に生息・生育する動植物のこと。約174万種が確認されており、まだ知られていない生物種の数は数千万種に上るといわれている。しかし、近年、環境の悪化や生息域の減少、乱獲などにより野生生物の種は急速な勢いで絶滅しており、生物多様性が失われつつある。このため、絶滅のおそれがある野生生物の輸出入を規制する国際的な取り決めであるワシントン条約や、生物多様性条約などの国際条約が締結され、世界国々が協力して野生生物の保護に取り組んでいる。

絶滅のおそれがある種に関するデータは、世界全体の野生生物の生息状況などを調査・分類した国際自然保護連合(IUCN)の「レッドデータブック」にまとめられている。IUCNレッドリスト2009によると、調査対象である4万7000種のうち、ホッキョクグマやカスピカイアザラシなど1万7300種が絶滅の危機にひんしている。また、地球温暖化の進行によって、鳥類の35%、両生類の52%、サンゴの71%が影響を受けるとしている。野生生物種の減少に歯止めをかけるため、2010年10月に愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、生物多様性が失われる速度を減少させるための新たな目標に関する話し合いが行われる予定だ。

日本では、環境省が絶滅のおそれがある種に関する情報をレッドリストとしてまとめ、そのデータをもとに「日本版レッドデータブック」を作成しており、2007年までに約3000種が絶滅のおそれのある種として掲載されている。同省は野生生物を保護するために、種の保存法に基づく希少野生動植物種の指定や、個体の捕獲・譲り渡しなどの規制、希少野生動植物種の生息地保護などに取り組んでいる。また、ツシマヤマネコやアホウドリ、タンチョウなどの保護増殖事業も行っている。一方、野生生物の保護に取り組むNGO/NPOなどの市民団体や研究者による活動も活発化している。

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