鹿児島県にある、日本で5番目に大きい島。面積503平方km、周囲130kmでほぼ円形に近く、中央部には九州最高峰の宮之浦岳をはじめとする2000m級の山々がある。年間降水量は平地で4000mm前後にもなり、山岳地帯ではその倍以上の雨が降る。この膨大な雨量によって育まれた森林には、さまざまな動植物が生息・生育している。こうした独特な自然環境や豊かな生物多様性により、屋久島は日本を代表する自然の宝庫として国際的に高く評価され、1993年の第17回世界遺産委員会で白神山地とともに世界遺産に登録された。
なかでも、屋久島固有の天然性のスギである屋久杉のうち樹齢6000年ともいわれる「縄文杉」は屋久島の自然の象徴であり、観光も制限されるなど厳しく管理されている。また、亜熱帯植物のアコウが生育する一方で、冷温帯植物のヤクシマダケやヤクシマシャクナゲなどが生育し、海岸付近にはガジュマルが生えているなど、一つの島の中に多様な植生がみられる。動物では、ヤクシカやヤクザルなどのほ乳類や鳥類が生息しているほか、アカウミガメが上陸して産卵することでも知られている。さらに、海中では黒潮によって育まれたさまざまなサンゴや魚類をみることができる。
同島には環境省の屋久島世界遺産センターがあり、エコツーリズムが盛んだ。縄文杉がある山岳部や川、海で数多くのツアーが行われており、ツアー事業者も多い。さらに、ゼロエミッションの徹底など環境への取り組みも盛んだ。