湿気が多くてじめじめとした土地のこと。湿原や干潟などの湿地は特有な環境ゆえに生産力に富み、多種多様な動植物の生息地となっている。その独特な生態系は、生物多様性の保全を進める上で大変に貴重だ。1971年にイランのラムサールで採択されたラムサール条約は、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む、沼沢地、湿原、泥炭地または水域のことと定義している。天然か人工か、永続的か一時的か、滞水か流水か、淡水か汽水か海水であるかなどの別は問わない。このため、渡良瀬遊水地のように人工的に造成された場所も登録されている。
国際的には、同条約のもとで湿地の保全に向けた取り組みが進められている。1999年の第7回締約国会議(COP7)で、登録湿地を倍増する決議がなされた。世界の条約湿地数は、2012年8月現在で2046カ所あり、その面積は1億9355万3062haに及ぶ。このうち日本には46カ所、13万7968haの条約湿地がある。
日本では、国際的に重要な湿地であること、自然公園法や鳥獣保護法などにより自然環境の保全が図られること、地元住民などから登録への賛意が得られることなどの条件を満たす湿地をラムサール条約湿地として登録している。また、湿原、河川、湖沼、干潟、藻場、マングローブ林、サンゴ礁など、生物の生息地として重要な湿地や希少種が生息する湿地などを「日本の重要湿地500」として選定している。