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「海洋汚染」 詳細解説

読み:
かいようおせん
英名:
Marine Pollution

本来、海の多少の汚染は自然に備わっている浄化力によって処理できるものだが、人間の活動によって排出される汚染物質の量が多いために、自然の浄化力だけでは処理しきれなくなってきた。

海洋汚染防止の国際条約である「国連海洋法条約」では、海洋汚染を、「海の生物や人間の健康、漁業などの営みに有害なものを人間が、直接、または間接的に海に持ち込むこと」と定義し、その原因を、陸にある発生源からの汚染(河川、パイプライン、排水口なども含む)、海底における活動による汚染、投棄による汚染、船舶からの汚染、大気を通じての汚染としている。
事実、海洋汚染の種類には、発泡スチロールやプラスチックなどの海洋浮遊物によるものや、タンカー事故などによる油の流出など、さまざまなものがある。わが国でも、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の半閉鎖性海域において工場排水や生活排水の流入によっておきる富栄養化による赤潮青潮などの汚染、魚網や船底に塗られたトリブチルスズによる魚介類への被害、外国からの海岸漂着物などの海洋汚染が問題になっている。また、近年、船舶から排出されるバラスト水による外来生物の侵入などに伴う環境影響が明らかになっている。

このような海洋汚染に対して、国際社会は条約を締結し、汚染防止に努めてきた。1975年には陸上で発生した廃棄物の海洋投棄、海上焼却に関する規制を定めた「ロンドン条約」、1983年には船舶からの油や有害液体物質、廃棄物の排出などに関する規制を定めた「マルポール条約」、1994年には海洋に関する新しい包括的な法秩序を規定した「国連海洋法条約」が締結された。また、1995年には1989年にアラスカ海でおきた巨大タンカーのバルディーズ号による原油流出事故をきっかけに、大規模な油流出事故へ対応した、「OPRC条約」などが発効した。

わが国も、これらの条約に加入するとともに、周辺国と協調して海洋汚染防止のための対策を講じてきた。国内では6月5日の「環境の日」や、同日などにあわせて行われる「海洋環境保全推進週間」の機会を設けて船舶関係者への保全意識の普及を行っている。

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