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「トリブチルスズ」 とは

読み:
とりぶちるふず

有機スズ化合物の一種で、略称をTBTという。性質を示す化学式は(n-C4H9)3SnH。代表的な有機スズであり、14種の化合物がある。殺菌や汚れ防止などの作用があり、かつては貝や海藻の付着防止のため、船底塗料や漁網防汚剤などに広く用いられた。しかし、ビス(トリブチルスズ)オキシド(Tributyl Tin Oxide:TBTO)を除いて蓄積性は低いが難分解性で、成長阻害などの毒性をもつことがわかっている。このため国際的な規制の動きがあり、国内ではTBTOが化学物質審査規制法の第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入が禁止された。また、他の13物質も、同じ有機スズ化合物で殺菌剤にも使われたトリフェニルスズ類(7種)とともに第2種特定化学物質に指定された。

TBTには、日本の沿岸部に生息するイボニシなどの巻貝に見られる雄化の原因物質として強い環境ホルモン作用が認められており、早急な対応が求められている。行政指導や業界の自主的な自粛もあって、現在では外航船を除き使用されていないといわれているが、国外で大型船などに使用されている。トリブチルスズ化合物、トリフェニルスズ化合物については、生物を指標とした環境汚染の経年監視が実施されており、水質汚濁防止法においては要調査項目、毒物劇物取締法においては劇物として定められている。また、大気汚染防止法では「有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質」のリストに掲載されている。

先進国で使用が禁止または厳しく制限されている有害な化学物質や駆除剤が、開発途上国にむやみに輸出されることを防ぐために、締約国間の輸出にあたっての事前通報・同意手続(Prior Informed Consent:PIC)等を規定した「有害化学物質等の輸出入の事前同意手続に関するロッテルダム条約」の第4回締約国会議(2008年10月)では、TBTをPICリストに追加することが合意された。PICリスト掲載の化学物質については、貿易の際に輸入国へ事前に情報提供を行い、同意を得ることが必要となる。

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