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海野和男のデジタル昆虫記

Nikon1 V3のベストモーメントキャプチャーのゆらぎ

Nikon1 V3のベストモーメントキャプチャーのゆらぎ
2014年05月29日

 上の写真はコアオハナムグリが飛び立ったところ4コマ連続写真(秒60コマ)。向こう向きに飛ぶと、揺らぎはあまり出ない。その後向きを変えると画像に揺らぎが出る。そしてついには空中分解。これはどうも現状の民生用のCMOSの現状だろう。保存しながら撮っていく方式も影響しているかもしれない。
 デジタルカメラでは画像はスキャンのような形で保存されるのだと思う。電子シャッターの場合はそれが特に影響して画像に揺らぎが生ずる。高速で動く電車がマッチ箱をつぶしたようになる現象もこれと同じだろう。お金をいくらでも出して良ければ、解析用の高速度カメラに搭載されているような、揺らぎ現象を回避する読み出し技術を持つ撮像素子もあるだろう。ただし今は恐らく撮像素子の価格だけでカメラが何台も買えてまう価格なのだろう。(産業用高速度カメラは100万円から1000万円ぐらいが普通。100万円のものは現状秒1000コマで40万画素程度しかない。しかし500万円ぐらいだせば400万画素程度のものもある。これもここ数年で半値ぐらいにはなっている)また撮りながら書き込みするカメラ内のメモリーの保存速度が遅い問題もありそうで、産業用の高速度カメラに内蔵されるメモリーは非常に高価である。
 たとえこのような現象が生じたとしても、被写体の位置や向きで目立たないこともある。昆虫撮影ではたとえ揺らぎが生じたとしても、無ければ写せない写真なら、もしかしたら瞬間がうまく撮れる可能性があるという方にかけたい。このような現象を軽減する努力は必要だと思うが、価格対効果で考えれば、高速連写は無いよりあった方が100倍よい。よくぞ載せてくれたと思う。それにしてもすでに発売から1ヶ月は経っている。今まで、その機能があることに気づかなかったのがとても悔しい。何しろ、虫が撮れる季節は刻々と変化する。今日、そして明日が重要なのだ。歳をとってくると残された時間は少なくなるから、ゆったりとなどしていられない。新しい技術が開発されればすぐにでも使って見たい。
 このゆらぎの問題は、実はフイルムの時にもあった。シャッター膜が横に走るか縦に走るかで揺らぎの出方は異なるがシャッター膜の間隔が高速シャッターになるほど狭くなる。そのスリットがフイルム状を移動して露光するわけだから、デジタルとそれほど異なるわけではない。
 X接点でのストロボ同調速度というのはシャッター膜が全開する速度だ。幕速が速くてもその速度はせいぜい1/500であろう。だからフイルムでも高速シャッターでは揺らぎが生じる。電子シャッターも同様だが、今のCMOS電子シャッターの場合はストロボ完全同調は1/60ぐらいが限界なのかとも思う。つまり、ストロボが光っている時間の数千分の一秒で書き込みが終わるシャッター速度が1/60ということになるとぼくは理解している(間違っている可能性もある)
 ちなみにNikon1 V3ではストロボ同調は、機械シャッターでは1/250、電子シャッターでは1/60である。
 だから電子シャッターでの高速移動体の揺らぎはフイルム時代より大きいのかもしれない。レンズシャッターがある機種では1/2000ぐらいでも揺らぎが感じられないのも機械式シャッターを併用しているからなのだろう。などと考えても、その方面の専門家ではないぼくには解らない。ともかくも早く全画素同時読み出しの撮像素子が一般化して欲しいと切に願う。
 海野和男の昆虫撮影テクニック・増補改訂版には昨年暮れ頃から発表された機種を使った写真もかなり多く載せています。

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