朝晩の空気に、「あれっ涼しくなってる…」と感じたら、自家製イクラの醤油漬けを楽しむ時期の到来です。
美味しく作るポイントは、イクラの前身筋子(すじこ)の選び方。
産卵のために川を遡上する前の鮭の「粒も小さく皮も柔らかい卵」を使うこと。選び方は、卵の色がやや濃いめの朱色で粒が張っているものがおすすめです。
筋子・イクラというと鮮やかな紅色と思われるかもしれませんがどうぞご留意を。作り方は簡単、早速レシピのご紹介です。
1. ボウルに網(1cmほどのマス目のシンプルなもの)をのせ、筋子(250~300g)の端から網目にやさしくひっかけ、膜をていねいにひっぱるようにして、卵をボウルにおとす
※筋子のあっちこっちから手をつけることはせず、端から順々に、そうすることで卵が落ちた膜の部分が多くなり、膜をひっぱりやすくなります。
2. すべての卵がボウルに落ちたら、イクラをザルに移し、洗ったボウルに4カップの水と塩大さじ2を混ぜ、そこにイクラを入れたザルを入れ、ザルを揺すりながら、手早く洗う。
3. 2.のイクラを別のボウルに移し、卵がつぶれた皮や取り残しの膜などを手で取り除く。
4. 小鍋に、日本酒大さじ2とみりん大さじ1を入れ、煮切ったのち(アルコールを飛ばす)火を止め、醤油大さじ2を入れる。
5. 3.のイクラを容器に入れ、4.の漬け汁の粗熱が取れたら容器に注ぎ、冷蔵庫へ。
6. イクラが漬け汁を大方吸って、深い赤色になったらできあがり。
イクラは醤油ベースの赤漬けのほか、昆布出汁ベースの白漬けもおすすめ、白漬けの作り方は次の機会に譲ります。
秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
(藤原敏行、古今和歌集)
頬に涼しい風を感じたらイクラの季節、秋の最強のご馳走、ぜひお試しください。
●奥田 ここ
料理研究家。外資系コンサルティング会社に勤めるかたわら懐石料理を学び、2007年に近茶流講師の許状を取得。
またイタリア滞在中に、素材を活かしたシンプルな家庭料理の素晴らしさも学ぶ。かつての築地市場や現在の豊洲市場をはじめ、世界各地の市場を師と仰ぎ、旬の食材を中心にした「和食」及び「イタリア家庭料理」の料理教室を主宰するほか、国内外での出張教室や外国人向け料理教室なども要望に応じて開催。
また、各種媒体・広告へのレシピ提供や国内外での出張料理、食材産地での取材、食に関する企画・執筆にも取り組む。素材の味を大切にし、無駄なく使いきる献立作りを心掛けている。
趣味は世界各地の市場巡り・茶道(裏千家専任講師)・サッカー・相撲・写真。
好きなものはシャンパンと着物、好きな言葉は馳走。
https://kokookuda.com/
出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2019年9月13日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/
※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。