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「日本のカメ全国一斉調査」結果発表!半数以上がアカミミガメ

  • 2024年3月22日
  • NACS-J
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10年ごとに行ってきた淡水カメ類の市民調査


 日本自然保護協会では、市民参加型調査「自然しらべ」として、2003年、2013年と淡水カメ類を調べ、観察された約6割がミシシッピアカミミガメであることを発表てきました。前回の調査から10年目にあたる2023年には、ちょうど6月から条件付特定外来生物としてアカミミガメの規制が始まりました。

 そこで、2003年7~9月の期間に「日本のカメ全国一斉調査」として、市民にスマートフォンのいきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」を使った調査への参加と投稿を呼びかけ、緑のgooのコラムでも紹介させていただきました。

 計1824名の方のご参加いただき、確認個体数3181匹のデータが寄せられました。そのうち飼育個体や水族館などのデータを除き、集計対象2147匹を分析しました。

最も多いのはアカミミガメ。スッポンが増加


 過去2回の調査結果と同様、外来種のミシシッピアカミミガメが55.3%という高い割合を占め、在来種のニホンイシガメの比率が低いため、引き続き外来生物法の規制の遵守や地域の防除や保全の活動実施が重要です。

 一方、スッポンは2003年、2013年の2~3%から2023年の13.7%と4倍以上に増加していました。その原因は環境変化や天敵との関係が考えらますが、現段階では特定できません。外来種のチュウゴクスッポンとの関係やスッポンの増加による生態系への影響を明らかにするため、今後、さらなる調査研究が必要です。

 また、外来種のカミツキガメ、ミシシッピニオイガメ、ハナガメの報告のほか、ニホンイシガメとクサガメの交雑個体と判別されたデータが3件ありました。在来のカメが遺伝子汚染される危険性が高いので、今後注意が必要です。
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▲自然しらべで報告されたカメの割合の比較

※スッポンは、日本にはニホンスッポンとチュウゴクスッポンが生息しているが、外部形態で識別するのは難しいため、今回の分析においては両種を合わせて「スッポン」として扱った。

 今回はスマートフォンのアプリを使用して市民調査を行いました。スマートフォンでは遠くのカメの写真を撮りにくいなどの相談もありました。投稿データの精度やデジタルリテラシーなど課題はありますが、AI(人工知能)による自動識別の技術進歩は著しく、市民科学の分野にもデジタル技術を取り入れて、環境保全に活かしていくことが大切です。

 参加、投稿いただいた皆様、ありがとうございました。

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▲東京の上野・不忍池で泳ぐミシシッピアカミミガメ

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▲2023年のミシシッピアカミミガメの確認地点

文:大野正人(日本自然保護協会 保護・教育部部長)

調査期間:2023(令和5)年7月1日~9月30日
参加者数:1,824名(ユーザーID数)
確認個体数:3,181匹(2,529件の投稿データのうち確認されたカメの総個体数)
集計対象数:2,147匹(動物園や水族館等を除き集計対象とした1,729件の投稿データで確認されたカメの個体数)

主催:公益財団法人 日本自然保護協会
監修:矢部 隆(日本カメ自然誌研究会代表)
*本調査は環境省請負業務として実施しています。


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