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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第1回 企業の社会的責任(CSR)を考える

  • 2004年2月12日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

企業の社会的責任(CSR)を考える

後 藤

 枝廣さんはジャパン・フォー・サステナビリティというNGOで情報プラットフォームを立ち上げ、世界に向けて日本の環境アクションを積極的に情報提供しています。CSRについて考えていることを話してください。

CSRは企業の生き様そのもの

枝 廣

 ジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)というNGOを去年の8月に立ち上げました。実は日本の企業や地方自治体、NGOは環境に積極的な取り組みをしているのに、その情報がほとんど世界に発信されていない。それを届けるのが目的です。今、87ヵ国に定期的にニュースレターを届けています。

 とくに欧米では昔から、ボイコットなどさまざまな消費者の運動が盛んで、企業に影響を与える歴史もあって、CSRが機能していると思います。一方、日本の場合はいろいろ問題がありましたが、それぞれの企業が一般の消費者から、「お前のところ何やってんだ。ちゃんと社会的な責任取れ」と言われているかというと、多分そうではないと思います。

 これは今日私が一番話したいことですが、CSRというのはプロセスだと思っています。これは人生と同じで、CSRというのは紙に書いて差し出せば済む一回限りのものではなく、その企業の生き様そのものがCSRプロセスだと思っています。

 では、何が必要なのか。社会に対する責任がCSRですが、変わり続ける社会の中で、今、社会は何を求めているのか、どの方向に向かっていくのか、それを企業の中で感じられる感覚があるかどうか、それを感じる触覚を社会に張っているかどうか、それが一番重要だと思います。

後 藤

 最後になりますが、八木先生は、まさにCSRそのものといえる生態会計論を研究されています。1970年前後に世界的に社会会計といった学問が出てきて、それが今のCSRにつながっていると思いますが、そういった観点で、昨今の動きや方向性についてお話しください。

CSR関連情報を社会で共有する仕組みづくりを

八 木

 私は現在大学で企業社会会計論という講座を担当していますが、これを今日のテーマに言い直せば、社会責任会計という言い方ができると思います。

 CSRを考える場合の一つの基準は、社会が企業や政府に対して、どういった社会的目標を考えているかです。これが重要なポイントになってくると思います。1970年代においては、一番求められていたのは法的責任を果たすという部分です。そういう意味では、社会的目標のレベルもその程度のものだったといえます。

 ところでEU(欧州連合)のグリーンペーパー(正式名称『CSRに関する欧州枠組みの促進』)の中でも、全体的アプローチが必要だという項目があったと思いますが、CSRに関する情報をきちんと社会全体で共有できる社会的システムをつくる、きちんと評価する、信頼性を高めるという条件も必要になってきます。そういう条件が整った場合には、企業のCSRと利益の関係がどうなっていくのか。そういった条件を満たしながら、企業が自分自身のオピニオンや社会に対するメッセージを発信していく、という形になると思います。会計的にいえば、そういった目標が、きちんとした予算の形で表されるのが重要なポイントなのです。

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