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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第1回 企業の社会的責任(CSR)を考える

  • 2004年2月12日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

企業の社会的責任(CSR)を考える

企業評価と選別につながる発信情報の中身

後 藤

 企業は環境や社会問題に関する取り組みを、環境報告書、サステナビリティ報告書、ステークホルダーダイアログなどを通して情報公開し、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションしているわけです。そこでCSRに関する情報公開に話題を移します。

稲 岡

 アメリカの友人に国連のグローバルコンパクト(地球規模の契約=国連のアナン事務総長が世界の経営者に人権、労働、環境に関する九つの原則について求めた契約)への署名が増えない理由を聞いたら、「会社の弁護士に、そんなものサインしたらリスクが増えるだけ、やめておけといわれる」ということでした。まだまだ日本の企業はディスクロージャーが少ないといわれていますが、リスクなくディスクローズできる仕組みづくりを考えていかなければならないと思います。

島 田

 2月にNPO、市民、学生、研究者、企業の皆さんに集まってもらって初の「環境社会報告書を読む会」を開きました。その中で対話をしましたが、企業の皆さんはこの対話を恐れられるんですね。一般公開してこわい質問が来ないか、どういうNPOが来るかわからないじゃないか、と。結果として、私どもの会はとてもうまく進みました。

 それともう一つ、私どもはすべての情報を外に流すと同時に社員に流す仕組みを持っています。社会貢献を担当する者だけが知っているのではなく、情報を社員に提供することが大切だと思います。

後 藤

 木内さん、第一線のトップ経営者で、かつNGOの立場から透明性とコミュニケーションについて、今感じられている課題はありますか。

木 内

 企業が世間にどういうメッセージを発信するか、そのためにはアジェンダがなくてはいけないと思います。ゴーンさんは、いかに日本国民、いずれは世界中の人に、どうやって理解して支援してもらうかということを考えていると思うんですね。私たちはこれからそういう企業の発信するメッセージを見て、その企業をサポートするかどうか決める。それが企業のこれからの存続のカギになる。そういう社会づくりをしていかなければならないと私は思います。

枝 廣

 情報開示に関して日本の企業はとてもコストをかけています。例えば環境報告書や持続可能報告書の発行に何百万円、何千万円をかけています。しかし、それを出してどれだけのメリット、リターンがあるのでしょうか。

 コストに見返りのある情報の使い方の一つとして、NGOと協働する取り組みを進めるべきだと思います。お互いが敵対するのではなく、環境認識のある人を増やすことを共通の目標にする。そういう人たちがCSRというとピンとくる会社に投資する、そういう会社の製品を買う。そうしたら企業側も、NGO側も一緒に進んでいけると思います。

八 木

 求められている以上の貢献をしていく、そういった情報公開のあり方を企業が探っていくことが重要だと思います。環境報告書自体もそれに応えられるものを作るという意味では、よくいわれているように、企業のトップが必ずコミットした情報を管理していくということも重要だと思います。

後 藤

 CSRに関する議論はこれからますます盛んになると思います。今日は、CSRの規格化についての議論も重ねたいと考えていましたが、時間が来てしまいました。また別の機会に皆さんと議論をできればと思います。

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