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このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。

第1回 企業の社会的責任(CSR)を考える

  • 2004年2月12日

このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。

企業の社会的責任(CSR)を考える

企業の社会的信頼度向上へさまざまな関係者との対話を

後 藤

 これからディスカッションに入りますが、まず企業の社会的信頼度を増すためにはどうしたらよいのか。稲岡さんいかがでしょうか。

稲 岡

 私は、地域や社会に対して何かをするという以前に、企業自身がどうあるべきかということが問われていると思います。

 終身雇用、年功序列が崩壊していく中で、新しい世代、40代より若い人たちがポジティブに企業に向かって正面から問いかけていく姿勢を、今、私は感じています。したがって、企業は自分自身をどう存立させ、どういうふうに運営、マネージしていくのか、そういう基本的なフィロソフィーみたいなところが、CSRのいわば核心部分ではないかと考えています。

後 藤

 個々の企業でアイデンティティを明確に立てるべきだと、捉えてよいでしょうか。続いて島田さんお願いします。

島 田

 自分の仕事、社会貢献に引き戻してCSRを考えてみると、日本の企業が今までいかに社会と直接対話してこなかったか、ということに突き当たります。

 私どももそれを始めたのが13年前ですが、社長のゴーンの「社会にとって本当に日産は必要なんだろうか」という問いかけは、自分勝手に思い込むことではなく、対話の中から生まれてくる部分というのがかなり大きいと思います。同質の人たちだけではなかなか新しいことはできないわけですから、私は違う文化を持った人たちとのダイアログが、とくに日本の国内では一番重要なことではないかと思います。

後 藤

 木内さん、日本企業が海外でどうみられているかということも含めて、お話しください。

木 内

 3年前の英国のエコノミスト誌は、「1億2,600万の日本人は何にも知らされてない国民なんだ」と言っています。その陰には「知ろうとしない国民なんだ」と言っているのです。先ほど、コツコツ働く国民が割を食う、と乱暴な言い方をしましたが、日本人は心の底で、正直者は馬鹿を見る、運の悪い奴が捕まるんだ、と思っているんです。私が言いたいのは、外でそういうふうに見られて、どれほどばかにされているか。まじめに一つひとつ積み重ねていくこと、一人ひとりが本気でやる。それが大事だということです。

後 藤

 枝廣さん、海外に情報発信されていますが、日本の企業のCSRについて一言いただければと思います。

枝 廣

 日本の場合は、私も経験がありますが、例えば企業に対して反対意見とか違う意見を出すと、「そういうつもりではないんです」とか、押さえにかかるんですね。自分たちが考えてもみなかった、心外なことを言われても、「なるほどね」とまず聞いてもらえると次の話ができると思うんです。

 平田オリザさんという劇作家が「日本には会話はあるけど対話はない」ということをおっしゃっていますが、CSRは日本にとって、対話トレーニングの大きな機会だと思います。例えばNGO、市民グループには対話をする用意がある人がいるわけですから、そういう人たちとどうやってつきあって、自分たちの企業にはない複眼をどう企業の中に取り入れていくか、そして身につけるか、その辺の意識がCSRの流れとして高まっているのかなと思います。

後 藤

 八木さん、日本で社会的信頼度を増すためCSRを考えたとき、今後の研究課題としてどんなものが考えられますか。

八 木

 CSRを考える上で重要なのは社会的目標をどう考えていくのかということです。CSRに関する情報の社会的共有を形成していくためには、日本で今、何が必要かということを考えていくべきだと思います。

 それから企業がさまざまな情報をサステナビリティレポート等を通して報告すること、また最終的には製品の付加価値の中にそれをどのように折り込むかが重要になってくるわけですから、そういった製品の評価や企業評価のシステムをできるだけ早くつくる必要があります。

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