このコンテンツは、地球・人間環境フォーラム発行の「グローバルネット」と提携して情報をお送りしています。
このコンテンツは、「グローバルネット」から転載して情報をお送りしています。 |
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稲岡 稔さん/(株)イトーヨーカ堂常務取締役総務本部長 |
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![]() ※コーディネーター 後藤敏彦さん/環境報告書ネットワーク(NER)代表幹事 |
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後 藤 |
今日はパネリストとして各セクターから著名な方々に出席いただいていますので、まずお一人ずつ、自己紹介を兼ねてCSR(企業の社会的責任)もしくは社会貢献に関する日常の活動やこの問題に関するお考えをお話しいただきます。 最初は、稲岡さんです。稲岡さんはコー円卓会議や日本経団連の企業行動関係委員会の委員等も務めておられます。CSRには随分前から関わっておられますので、企業人としてCSRをどう考えるのかお話しください。 |
稲 岡 |
CSRは、経営者が事業活動を進める上で重要な二つの要素の一つであると考えています。二つのうち一つは営業利益、本業の事業活動でどれだけ利益を上げられるか。もう一つがCSRであると理解しています。 ここ1〜2年、アメリカでもヨーロッパでもわが国でも、CSRということが盛んにいわれています。このうち、アメリカのCSRは、ポストエンロンという言葉が象徴しているように、エンロン、アンダーセン、ワールドコムといった一連の事件で、アメリカの成功神話が一晩に崩れてしまったことが背景といえます。日本でも2001年から2002年の初めにかけて、食品会社等のいろいろな事件があり、これを受けて日本経団連が2002年の10月に改訂企業行動憲章を発表したわけです。 これらの出来事を通して、経営者の皆さんもCSRを一生懸命考えないと、下手をすると会社がつぶれるということを十分ご承知になったと思いますが、いまだに気づかない経営者もいるようです。 |
後 藤 |
島田さんはグローバル企業の中でIR(投資家広報)担当として社会貢献に深く関わっておられます。企業が社会的存在としてどう貢献するか、CSRの中の重要な要素の一つでもありますので、基本的な考え方や、現在抱えている課題についてお話しください。 |
島 田 |
グローバル広報IRという長い部署名ですが、実は昨年からIRの担当が広報の中に入り、こうなりました。私はコミュニティリレーションズ、つまり社会貢献を担当しています。 日産自動車といえば、皆さんは社長のゴーンの名前と顔を思い浮かべると思います。そのゴーンの最大の関心事は、日産は社会にとって必要な存在だと皆さんが思ってくださっているかどうかということです。 社会貢献の目的について簡単に三つ申し上げます。私どもの場合は、13年前に社会貢献を専門に担当する部署を設けました。一つは能動的に社会に関わっていくこと、二つ目は社会の変革に関わっていくこと。三つ目はサステナビリティという表現にもありますが、長期的な目標、持続可能であるということを基本に据えていくということです。 具体例を一つ紹介します。私どもは日産NPOラーニング奨学金制度を実施しています。これはNPOで働きたいという学生を公募して、その人たちにさまざまな分野のNPOで仕事をしていただき、実際に選考された人が働いた実績に応じて奨学金を支給するという仕組みです。ある意味で、未来社会への戦略的投資であると捉えてやっている活動です。 |
後 藤 |
木内さんは長く第一線のトップ経営者として活躍される一方、NGO活動も続けてこられました。現在はNGOのフューチャー500の代表を務められていますが、今後CSRに何を期待し、要求していくのかお話しください。 |
木 内 |
企業あるいは一般市民が自分さえよければよいと思い、既得権益、国の将来について語らないで、どうやって未来の展望が開けるでしょうか。だからCSRに対しては、国民一人ひとりが自覚をもって、企業に対する影響力を使って、国民の魂に訴えていくことが大事だと思います。 企業のCSRへの期待と要求を考える中で、その一つとしてまず「政治家、官僚を目覚めさせる機会」になると考えました。またまじめにコツコツ働く国民、割を食っている国民に報いる機会でもあります。なおざりにされている価値観、倫理観、これに改めて直面する、そのチャンスをつくるのがCSRだと思います。経済的利益やGDP(国内総生産)より大切なこと、生活の内容や多彩な楽しみ、芸術、豊かさを感じる社会づくりにどうやって取り組むのかをCSRを考えることを通して問いかけたい。 |