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その選択、本当にエコ?
~ライフサイクルアセスメントで自分の行動を見直そう~
-「第27回エコ×エネ・カフェ」(前編)

  • 2018年3月1日
  • 緑のgoo編集部

トータルで捉え、インパクトを意識する

森:では解説をお願いします。

田原:エアコンは、寝室に使うサイズで0.44kWhくらい電力を使います。扇風機は強風で0.24kWhくらい。冷却マットは、冷凍庫で計算して0.75kWh。窓はゼロ。これに基づいて計算します。シャワーはガスと水の使用量で計算します。

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田原:XさんとYさんの場合、Xさんはエアコン2時間、扇風機を朝までで0.3kgくらいのCO2排出量、Yさんは0.4kgくらいとなり、Xさんの行動の方が環境負荷が低くなります。「エアコンが環境に悪い」とエアコンを使わず熱中症になる人もいるようですが、実はエアコンそのものの負荷はそこまでではないということが言えます。

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森:シャワーが水ならどうでしょう?

田原:ガスを使わないので、Yさんの勝ちになりますね。ここで言いたかったのは、エコだと思ってやった行動は、トータルで見た時にどうなのかということです。エアコンをつけずに暑いのを我慢しても、その後汗をかいてシャワーを使ったり、服を着替えたりするかもしれません。そういうことも含めて、全体的に考えなければいけません。

森:考え始めたらキリがない気もしますが、とことん考えるのがLCAなんですか?

田原:とことんというより、どこが一番影響があるかです。影響が大きい部分が重要で、逆に言うと影響の少ないところは放っておいてもいいんです。

LCAから考える発電

森:ここで、主催者であるJ-POWERの藤木さんから、電力会社の視点からLCAについてお話しいただきたいと思います。

藤木:再生可能エネルギーでの発電は、LCAの視点から捉えるとどうなのか教えてください。

田原:それは私の卒論のテーマでした。例えば太陽光発電は建設時のCO2排出が大きいですが、化石燃料の発電のCO2排出量は動かすたびに増えていくので、2~3年で化石燃料の発電より環境負荷が低くなる計算です。このようにCO2の観点から見ると、再生可能エネルギーは化石燃料に比べて優れていると思います。

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田原:しかし、発電所の出力容量あたりで考えると再生可能エネルギーは広い土地の面積が必要になるんですね。低炭素という意味では再生可能エネルギーは優秀ですが、それ以外の問題、土地や金属などの資源の利用などを考えると違う答えが出てくる可能性があります。

藤木:LCAではいろいろなものの製造プロセスが緻密に計算されていますが、それは技術革新や災害などの影響で変わってくると思います。例えば電力1kWhあたりのCO2排出量は、原子力発電が多かった震災前に比べて、震災後は増えましたよね。世の中の変化があると、インベントリデータのアップデートが大変ではないでしょうか。

田原:LCAは統計データを使っていますが、できる限りアップデートしています。大変ですが、特に電力は毎年アップデートしています。

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