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第21回 「電力自由化ってなに?~日本のエネルギー未来を見通す~」竹内純子 氏

  • 2016年3月17日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

ゲストトーク:「電力自由化ってなに?」~日本のエネルギー未来を見通す~

森:竹内さんは、第12回(世界の中の日本〜私たちのエコとエネの未来〜)以来2度目のご出演ですね。改めて、プロフィール紹介をお願いします。

竹内:新卒で東京電力に入社して、最初は上野にある小さな営業所で窓口業務を経験しました。そこで学んだことが2つあります。ひとつは、窓口で電気料金をお支払いにいらっしゃる、口座引き落としやカード払いができない方々にとって、電気料金の値上げの負担はいかに大きいかということ。もうひとつは、停電に対する日本社会の弱さです。もし停電事故が起こると、その瞬間にお客様からの問い合わせが殺到して、支社内の電話が一斉に鳴り出します。電気が止まると水道も照明もつかえない、電車も止まる。電気はインフラ中のインフラなのだと実感しました。

ゲスト
プロフィール

森:それから、東京電力が保有する尾瀬の自然保護活動担当になったんですよね?

竹内:尾瀬の自然保護は10年以上担当させていただきました。10年も尾瀬で働いていると、自然の中に温暖化の影響を感じるようになり、温暖化対策への関心が大きくなりました。それで、今度は温暖化とエネルギー政策の担当として、気候変動交渉の国際会議などに関わる仕事を担当しました。けれども、東日本大震災が起きて、それまで信じていたエネルギー政策がひっくり返ることになり、「日本はエネルギーに弱い国なのに、こんなに一気に方向転換をして大丈夫なのだろうか」とエネルギーについてもっと勉強したくなりました。無鉄砲にも会社を辞めて、NPO法人国際環境経済研究所の研究員として、エネルギーに関する正しい情報発信をしようとあれこれ活動しているうちに、いつの間にかいろんな仕事をするようになりました(笑)。

ゲスト

「電力自由化」とは?

森:電気というのは、「作る」「送る」「販売する」の部分を電力会社がやっていて、これまでは電力会社から家庭までの流れがひとつだった。それが、自由化が進むことで、いろいろな会社が売るようになる。この理解で合っていますか?

竹内:正確には、「作る」と「売る」の両方の自由化があります。発電部分の自由化は既にされており、ここに事業参入している事業者もいます。今回は「売る」部分が全面的に自由化されるということです。「全面的に」というのは、これまでも工場やデパートなど多くの電気を使うユーザーに対して電気を売ることは、地域の電力会社でなくてもできました。部分的には自由化されていたのです。しかし、一般家庭・コンビニエンスストア程度の小さな商店は、地域の電力会社から電気を買うことになっていました。今回はここも含めて「電気を売る」事業が全面的に自由化され、様々な事業者が参入できるようになったのです。

電気が家庭に届くしくみ:今まで
電気が家庭に届くしくみ:今まで
エネルギーシステム改革」(資源エネルギー庁)を加工して作成

森:電気って「作る会社」と「売る会社」が分かれているという感覚がないのですが、今回自由になるのは「売る」部分ということですね。自由になるから事業者が多く参入して消費者にはいろんなメリットがありそうだ、ということでしょうか?

電気が家庭に届くしくみ:2016年4月以降
電気が家庭に届くしくみ:2016年4月以降
エネルギーシステム改革」(資源エネルギー庁)を加工して作成

竹内:それもあります。ただ、消費者が自由に選べるだけではありません。これまでの規制から事業者が解き放たれるということでもあります。 今まで各地の電力会社は、義務を背負ってきました。その地域のお客さんに、例えば離島のお客さんが含まれていても、必ず電気を送らなくてはなりません。ちなみに実は八丈島に電気を送るのは、東京電力の銀座支社が担当しているんですよ。

森:それはびっくりですね。

竹内:電力会社は、遠い離島にも同じ料金で電気を送らなくてはなりませんでした。その代わりに「総括原価方式」によって、掛かるコストはちゃんと回収できるように料金を設定することが認められていました。それについては、政府が規制を課し、チェックされていたのですが、自由化されれば、電気事業者は今後、こうした規制から自由になるということになります。

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