ワークショップの後は、全体セッションで一日の学びを振り返りました。
会場:電気は生活を支えるとても重要なインフラですが、何か問題が起きた時、新規参入事業者に対応する力があるのか心配です。
竹内:いろいろな会社が参入しますので、カスタマーサービスのレベルは差が出てくると思います。実際イギリスでは、サービスレベルの悪い会社から、顧客の離脱が起きたりしています。料金比較サイトだけを見て決めるだけでなく、その会社の顧客サービスに電話して対応をみてみるなど、消費者の責任としてサービスも確認してみてください。
会場:地域の新電力を作り、電気を地産地消して地方創生を盛り上げるトレンドもあるのではないでしょうか。
竹内:浜松市がご当地電力会社として浜松電力をやっているように、そういう動きはあると思いますが、再生可能エネルギーは不安定ですので、広域で使うことを考えたほうが良いのです。「電力の地産地消」に拘ることは、お勧めしません。
会場:固定価格買取制度と電力の自由化は両立するのでしょうか?今後炭素税の導入は進んでいきますか?
竹内:ドイツは1998年に電力全面自由化を行い、2000年からは再生可能エネルギーの比率を増やすため、固定価格買取制度を導入しています。しかしながら、”究極の総括原価方式”と言われる固定価格買取制度や優先接続と言ったルールで再生可能エネルギーを優遇し、それと電力の自由化を両立させることで不具合も生じています。具体的には、火力発電の廃止が相次ぎ国としての電源不足の懸念が生じたこと、そして、火力発電の低炭素化が進まなかったので再エネの発電量は増えたのに、顕著なCO2削減効果は見られませんでした。
炭素税についてですが、日本は長く「石油石炭税」というかたちでエネルギーの利用に対して課税していますし、2012年からは「地球温暖化対策税」というかたちで石油石炭税に上乗せして税金を支払っています。
会場:社会の二極化を防ぐために、きちんとした情報を政府が主導して出していくことが必要だと思いました。また、技術開発など、必要な分野への投資も必要ではないでしょうか。
会場:悪質な小売業者が参入し、空売りをしないかなど心配です。新規参入事業者の信用はどのようにチェックすればよいでしょうか。
竹内:そういったことは起こらないように規制がかかっていますが、皆さんが、事業者を選ぶ目を持つことも必要ですね。
全体を振り返り、ゲストの竹内さんから「国民にとってのメリット・デメリット、国のエネルギー政策全体を考えた場合、短期的長期的から考えた場合など、いっぱい話したいことがあって、もっとお話ししたかったです。本も書いていますので、是非読んでみてください」というメッセージがありました。
また、緑のgooプロデューサー佐藤さんからは「電力自由化、わかったこと、疑問が膨らんだこと、たくさんあると思いますので家庭でも話していただけたらと思いました」と、J-POWERの藤木さんからは「スマートグリッド、HEMSやスマートメーターをつかって供給と需要をマッチングさせるなどいろいろな話題もでているので、自由化したあとの中で、改めて話ができたらおもしろいだろうと感じました」とコメントがありました。