サイト内
ウェブ

第18回 「手づくりの持続可能な暮らし方教えます」加藤 大吾 氏

  • 2015年3月12日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

森:食べるために生きものの命をもらうというのは、目の前か、遠くかの違いがあるだけで、必ず起こっていることですものね。加藤さんは、そういった暮らしのことをウェブで発信されていますが、社会へのアプローチとして、どんなことを考えていますか?

加藤:最初に出した本には、自分が山に住めましたという、自己実現のことを書いているのですが、それだけでは足りなくなってしまって。もっと人に伝えていきたい、みんなが幸せになるきっかけになることが必要なんだと思って、5年前にNPO法人都留環境フォーラムを始めました。そのNPOをどう運営しているかを書いたのが、この本(やりたいことをやってみた)です。自分がやりたいことをやるのは難しい。どうなるのだろうという恐怖もある。それを、NPOという組織をつくってやってみた。そのことを書いたものです。いまのところ、相当苦労しながらも4人でなんとか運営していますが、そういうことも、世の中に伝えていくことが大事だなと思っています。

加藤さんの執筆した本はこれまで2冊出版されている
加藤さんの執筆した本はこれまで2冊出版されている
エコエネ会場

加藤:40歳の時に転機がきたんですね。南太平洋大学の上層部の人たちがここにやってきて、この家をみて「あなたはここに住んでいて幸せなの?」って聞いてくるんです。彼らは、ハイテクの街並みを期待して日本にやってきた。そして、東京を見た後でここにきて、こんなところでテレビもない生活をしていて、本当に幸せなんかって思うわけです。僕が「この暮らしを選択して幸せだ」って答えると「信じられないよ」という感じで。でも、一緒に暮らしてワークショップをした後で「何を大切にしたら幸せになると思う」と聞いてみると、家族とか、文化伝統を大切にすることだとか、手作業でつくってプレゼントすることとか、自然の中に生きることとかっていう答えが返ってくるんですね。「じゃあ、幸せになるには、どんな国づくりが必要になりますか?」って聞いてみると、そこから、ものすごい議論になるんです。やっぱり開発が必要だっていう人もいるし、家族や伝統を守ることが大事だっていう人もいる。それを見て、彼らは、こういう体験をするまで、日本をコンクリートジャングルとしてしか見てこなかったんだなということに気づいて。それで、もっと伝えなきゃ、と思ったんです。それを、直接僕の口から伝えたいなと思って、去年から英語を勉強し始めました。

森:いろいろ挑戦しているんですね。J-POWERの藤木さん、お話を伺っていかがですか?

藤木:地域に入っていくにあたって、どんな苦労がありましたか?

加藤:きっと大変だろうなと、最初から覚悟していたんです。それで「地域行事に誘われたら、絶対に断らない」ということを自分に約束しました。

藤木:誘われましたか?

ゲストトーク

加藤:最初は消防団に。地方の消防団て、若い人がいなくて人手不足なんですね。それで、なんとか入ってくださいと誘われて、今は班長にもなっているのですが、これをしていることで、「地域に貢献しようとしている」と思ってもらえて、地域の人たちから信頼してもらえるんです。これは、とても良かったですね。僕は、あげるものともらうもののバランスがうまく取れないと、多分関係性はうまくいかないだろうなと思っていたんです。それで僕は、自分の労力をあげようと、意識しました。でも、意識しないと、もらうものばかりになってしまうんですよね。たとえば田んぼを貸してもらう、仲間に入れてもらうとか。だから、これは相当あげなきゃなあと。そういう感じですね。

藤木:自分のやっていることを発信したくなってきたというのも、すごく共感できるところですね。

加藤:僕一人が幸せと思っていても、周りの人が不幸せな顔をして座っていたら、全然幸せじゃないんですね。みんなが幸せになった、ひとつの事例というのかな。こういう可能性もあるんだよっていうのを示すことをやっていきたいし、今やるべきなんだなと思っているんです。

藤木:ある意味、自分の暮らしをさらけ出すわけですから、覚悟がいると思いますが。

加藤:最初の本を書いた時は、すごく恥ずかしかったですよ。家計簿まで載せていますから。超悩んでいます、なんてことも書いて。でも、本にして社会に出すことが、この先の活動が広がっていくきっかけになるなって思ったんです。最初、批判されたんです。「お前は東京を捨てたのか」「現実逃避だ」と言われて。その時はちょっとつらかったですね。本も、最初の年は全然売れなくて。でも、2-3年目から突然売れるようになったんですよね。きっと何か有効と思ってもらえる情報があると思ってもらえたんだと思いますが。どうしてかは、よくわからないですけれど。本当にこれが大事なのだと言い始めたら、変わってきました。

藤木:思いが、徐々に伝わり始めたんですね。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

記事の無断転用は禁止です。必ず該当記事のURLをクリックできる状態でリンク掲載ください。