森:これは、かわいいイラストですが…。
加藤:都留市は都心から約90キロ、新宿から電車で1時間半ほどのところにある、森林や耕作地からなる人口3万2千人程のちいさなまちです。都留文科大学があることで知られていますね。この絵は、10年前、山梨県都留市に山を買った時に、自分で開拓してこういうものをつくってみようと、絵を描いたんです。今は、ほぼこの状態に近づいています。
森:なるほど。ところで、加藤さんの肩書きはアースコンシャス代表、ピースフルライフワーカーと、横文字が羅列していますが、どんな意味なんですか?
加藤:僕は、常に実践者でいたいと思っているんです。だから、「ワーカー」。生き方として「こういうのが幸せなんだよね」というのを提案する人になりたいと思って「ピース」とつけました。
森:アースコンシャスとは?
加藤:地球を感じられる事業展開しようと思って。今、僕は41歳ですが、まだ若造だった27歳の時に、屋号としてこの名前をつけました。
森:「かとうさんち」というウェブサイトを運営していますね。お米づくりとか、野菜づくりのこととか、情報がやけに充実していますが。
加藤:このウェブサイトがなかったら、皆さんと出会うきっかけもなく、自己満足で終わっちゃう。ただ自分だけやっていても何も始まらないから、情報をちゃんと発信していくことが大事だと思って、プロの人に頼んでつくってもらいました。
森:そんな加藤さんの暮らしぶりについて、お伺いしましょう。
加藤:左上の写真は我が家の食卓です。子ども4人、妻と自分という家族でいつもご飯を食べているのですが、常に誰かお客さんがいるんです。 WWOOFという、有機農業体験をしたい人に食事と宿を提供するサービスに加盟しているので、登録した人たちが泊まりにきていたり、うちのNPOの職員がご飯を食べにきたり、近所の人がやってきたり。
森:賑やかですね。
加藤:右上の写真、ジャングルみたいに見えるのは、僕の畑です。パーマカルチャーといって、立体的に植物を植えることで、ものすごく収量が増えるんですね。広さは、このカフェの半分ほどですが、家族と周りの人たちが食べるくらいのものは獲れてしまう。右下は、訪れたパプアニューギニア人が稲刈りしている写真です。ニワトリを飼っていますので最近はたまに鶏糞を入れますが、それ以外は肥料を使わず、無農薬で作っています。このお米は、農作業を手伝ってくれた人たちに食べてもらう。そんな具合です。
森:ぱっと聞くと、要するに農家のおじさんという感じですが。
加藤:職業を聞かれると困ってしまうんですよ。農業もするし、大工もする。今日のように講演でしゃべったりもするし。
森:建物も全部自分で作ったということだそうですが、どうやって?
加藤:この土地を買った後、2005年に愛・地球博に駆り出されて。当時は名古屋に住んでいたのですが、地球博が終わった後、廃材になるものをたくさんもらったんです。実はゲストハウスの扉も、とあるパビリオンで使っていた扉で。地球博で知り合ったみんなに、ここに土地を買って家を建てるんだと話したら、「手伝います」って、若い人たちがどっと押しかけてきてくれたんです。それで、できちゃったんですね、家が。