今回のゲストは、NPO法人日本の森バイオマスネットワーク理事長/くりこま高原自然学校代表の佐々木さんです。90年代から佐々木さんと親交のあるファシリテーター森さんとの掛け合いを通して、佐々木さんの波瀾万丈の人生を振り返り、なぜ今、森林再生に挑んでいるかの話を伺うことから、エコとエネの関係を探っていきます。
森:佐々木さんは今、自然学校やバイオマスの活動をされていますが、元々のルーツは冒険教育だそうですね。耳慣れない言葉ですが・・
佐々木:冒険と言っても人によってイメージするものが違うと思いますが、自分たちの言う冒険は、快適・心地良いと感じるC(Comfortable)ゾーンを抜け出すことを意味します。リスクがあり、未知で、結果が保障されない領域に、自発的に入り込んでいくことを冒険と呼んでいるんです。
森:Cゾーンの大きさは、人によって違いますよね。
佐々木:一般的には成長するに従ってだんだん大きくなると言われています。冒険教育とは体験学習によってCゾーンを広げていく教育のことで、体験から自分の力で考え、解決する力を身につけ、その学びを実社会に応用していく、循環過程のある学びを大切にしています。
森:そんな佐々木さんにも、東京でサラリーマン時代を過ごした経験があるそうですね。
佐々木:20代の頃、テレビ局で子ども向けの自然教育事業を担当していました。この事業はほんの一部で、ほとんどはテレビ局の仕事をしていました。
森:テレビ局で仕事をしていたのに、なぜ突然くりこま高原に行って自然学校を始めようと思ったのですか?
佐々木:バブル時代を体験して、こんなものが長続きするはずがない、こんな実態のない暮らしを続けていてはダメになると直感的に思って、家内の実家がある栗駒(くりこま)に移り住むことを決めました。
森:そして、そこで始めたのが、キャンプや森のようちえん、引きこもりや不登校の子どもたちの引き受けや山村留学といった活動。野菜や米をつくったり、パンを焼いたり。楽しそうな生活ですね。
佐々木:環境に配慮した暮らしを広めるためには、まず自分たちが実践して、他の人たちに見せていくことが必要だと思うのです。それで、エコビレッジ構想を掲げて、少しずつ自分たちの手で実現させていきました。子どもたちを預かるので、身体にとって良いものを食べさせなくてはと考えまして、そこで農業をやってみようと考えたのです。
森:農業って、あまり「冒険」っぽくない気がしませんか?
佐々木:農業こそは冒険ですよ!やってみないとわからない世界ですからね。