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第9回 「エネルギーと民意」柳下 正治 氏

  • 2012年3月15日
  • 緑のgoo編集部
J-POWER エコ×エネ・カフェ

全体での意見共有を受けて、柳下さんと参加者との対話が展開されました。

「いかに現実的で、みんなが考えようという気持ちになる選択肢を用意していけるか。それがポイントになると思います」と語る柳下さん
「いかに現実的で、みんなが考えようという気持ちになる選択肢を用意していけるか。それがポイントになると思います」と語る柳下さん

柳下:  民主主義国家においては、最終的に選択権も持つのは国民とも言えますよね。日本では今、憲法の改正においてのみ国民投票の制度がありますが、冷静な議論のうえに国民が参加できる土壌が整っていることを前提として成立する制度とも言えます。スイスでは年間2回、複数の議題について国民投票が行なわれることになっています。このため、意見を持った人たちは普段から国民に向けてアピールをしていますし、国民もその議題について関心を持ち理解を深める機会を得ています。単にマスコミやテレビが盛り上げることによって投票率が上がる国民投票では意味がありません。まさに民度の問題だと思います。

参加者: 国民投票の選択肢は誰が作るのですか?

柳下: スイスの場合は、国民投票の必要性を提案した団体が選択肢を作成することになります。熟議についても、誰がその場をつくるかがとても大切です。主催した団体が自分たちの望む意見に誘導したり、学ぶ内容に偏りがでるようなことがないように公平性・公正性が確保されることが大前提となります。「誰がやるか」ということが非常に重要になるわけです。

参加者: 熟議に参加するのは時間的にも負担が大きいと思いますが、補償する制度はあるのでしょうか。

柳下: 参加することによって被る不利益を補填するという制度を持った国もあります。無作為抽出で選ばれた人たちも、皆さんが参加しなくてはならないわけではなく、選ばれた人たちの参加の意志を確認し、その上で男女比や年齢構成などへの検討も加えられるなど、バランスがとれるように配慮されています。

森: スイスでは国民投票をした場合、その結果は絶対的なものなのでしょうか?

柳下: 間接民主制では、国民によって選ばれた議員で構成される議会がありますので、最終的には議会が覆すこともできる制度になっています。ただし、国民投票制度は、成熟した市民社会があってはじめて使いこなすことができるのではないでしょうか。今年の夏までにできることは少ないかもしれませんが、今年の夏だけではなく、この先のことも考えて、民意の届け方について考えることが必要だと思います。

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