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「FRP」 詳細解説

英名:
Fiber Reinforced Plastic

FRPは、繊維強化プラスチックと呼ばれる複合プラスチック材料だ。ガラスや炭素、アラミドなどの繊維と樹脂を組み合わせて成型しており、非常に強く、軽く、弾性が高く、耐久性や衝撃性に優れ、電気を通さないが電波を通すといった多くの優れた性質をもつ。このため、ヘルメットやスキー板、ラケットなどのスポーツ用品から、浴槽、建材、自動車、船体のボディ、人工衛星の部品までさまざまな分野で使われている。一方、多量のガラス分を含み、破砕や燃焼が難しく、自然に分解できない。しかも製品寿命が30年以上になるため、プラスチック類の中でも最も処理が困難とされている。

FRPの処理については、従来はほとんどが埋め立てや高温焼却、粉砕などの手段で廃棄されていた。とくにFRP廃船は破砕が難しく処理費用が高い上に適正な処理ルートがなかったため、FRP製のプレジャーボートなどが不法投棄や放置される事例が全国で起き、社会的な問題になった。FRP製廃棄物の適正処理を進めるために、2005年9月に廃棄物処理法に基づく一般廃棄物の広域認定制度の対象品目に係る告示が改正され、廃FRP船が同制度の対象品目として追加された。

これを受けてFRP船メーカーの業界団体である(社)日本舟艇工業会が、広域認定を受けて廃FRP船のリサイクルに取り組んでいる。FRP船リサイクルシステムは、指定引取場所に集められた廃FRP船を一次解体した後に、FRPの破材を中間処理施設で破砕・選別し、セメント焼成する流れで行われている。対象となるのは、FRPを材料として使用するモーターボートやヨット、漁船などの小型船舶だ。リサイクル料金はFRP船の船種と全長によって決められており、同システムに参加していないメーカーや輸入業者によるFRP船にも、別料金を適用して対応している。

一方、メーカーなどの企業による研究開発も進みつつある。環境省の「次世代循環型社会形成推進技術基盤整備事業補助金」には、FRPを分解、リサイクルするための技術が採択されている。2008年度に採択された松下電工(当時)による「FRPの亜臨界水分解技術の実用化開発」は、亜臨界水分解技術により廃FRPの80%をFRP原料に再利用することを目指す。また、2010年度に採択されたヤマハリビングテックによる「木質ボード廃材及び容器リサイクル樹脂を用いた機能化コンパウンドのFRP廃材を利用した改質」は、ボード廃材などを粉体にする工程で、FRP廃材の微粉を添加して強度を上げる試みだ。

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